今回は、近年急増している「ロマンス詐欺」についてお話しします。
この詐欺は、特にインターネットやSNSを利用した交際関係を装う手口で、被害者の方が多額の金銭を騙し取られるケースが後を絶ちません。中でも「海外から大事な荷物を送ったが日本の税関で止められている」といった手口が典型例であり、本日はこの手口を中心にご説明致します。
このページの目次
1 詐欺の具体例:税関を装う手口
この詐欺の典型的な流れは以下のようなものです。
①SNSでの接触
詐欺師は、親切で魅力的な人物を装って接触してきます。
例えば「自分は海外でビジネスをしている」や「軍人として海外勤務中だ」というプロフィールが多いです。
②信頼関係の構築
数週間から数か月かけて、甘い言葉や親密な会話を通じて被害者の信頼を得ます。相手は結婚や将来の話題にまで触れることで、被害者に強い期待感を持たせます。
③荷物を送ったという嘘
ある日、詐欺師は「あなたに感謝の気持ちとして貴重なプレゼントを送った」と伝えます。さらに、荷物には現金や貴金属、その他高価な品物が入っていると説明します。
④税関で荷物が止められたという虚偽の連絡
しばらくして、詐欺師またはその共犯者が「荷物が日本の税関で止められた」、「多額の金や手数料を支払わなければ荷物が処理されない」といった嘘の連絡をしてきます。
そして、「荷物を受け取るために」と称して多額の金銭を送金するよう要求します。
2 税関が荷物の引き渡しと交換にお金を要求することはありません
ここで強調したいのは、日本の税関がこのような金銭を要求することは絶対にないという点です。
税関で輸入品に課される税金等は、通常、宅配業者や配送業者を通じて適切に請求されます。直接的に個人の口座に送金を求めることはまずありません。
また、税関が個人に直接連絡を取ることも非常に稀であり、正式な連絡は郵送や通関業者を介した方法で行われます。「税関」を名乗って金銭を要求された場合、その時点で詐欺を疑うべきです。
3 被害に遭わないためのポイント
このような詐欺から身を守るためには、以下の点に注意してください。
①オンラインの関係に注意
短期間で急に親密になろうとする相手や、多額の贈り物を約束する相手には警戒してください。
②お金を送らない
理由が何であれ、直接的な送金要求には応じないことが重要です。
③税関に直接確認する
税関に関する連絡内容に疑義がある場合、必ず税関の窓口に直接問い合わせて真偽を確認してください。
④専門家に相談する
被害に遭ってしまった場合は、速やかに警察や弁護士に相談してください。
4 ロマンス詐欺にはご注意を
ロマンス詐欺は、非常に巧妙な手口で被害者の心理を操り、多額の金銭を騙し取る悪質な犯罪です。
「税関で荷物が止められている」というシナリオが典型的な手口ですので、このような話を持ち掛けられたら即座に疑うべきです。
大切なのは、冷静に事実を確認し、決して相手のペースに乗らないことです。ご自身や大切な人を守るために、詐欺の手口を理解し、常に警戒心を持つことが何よりも重要です。
お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。