運用通達上の10%ルール

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本のメーカAは、半導体製造装置を海外に輸出しようと考えており、担当者Bが該非判定を行った結果、半導体製造装置は輸出令別表第1の16の項に該当するものであること、また、当該装置においてはポンプを利用しているが、装置と一体となってしまっており、別途該非判定を行う必要がないと判断した。このような判断は適切かどうか。

 

2 正しい対応

Bの判断は間違っており、無許可輸出に該当する可能性があります。

半導体製造装置自体は輸出令別表第1の16の項に該当するとしても、原則として、当該装置に組みこまれたポンプは、輸出令別表第1の2の項や3の項に該当する可能性があります。

ただし、いわゆる運用通達上の10%ルールを踏まえて(運用通達1-1(7)(イ))、当該ポンプが他の貨物の部分をなしているものと判断できる場合には、リスト規制には該当しないものとして取り扱うことができます。

そのため、Bとしては、ポンプについてこの10%ルールの適用が可能かどうかを判断する必要があります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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