前回の記事では「ロマンス詐欺」の代表的な手口である税関を騙る詐欺についてご紹介いたしました。
しかしながら、実際に送金してしまい、「どうすればいいかわからない」と悩まれている方も相当程度いらっしゃるのが現状です。
実際問題として一度送金してしまうと取り返すことは至難の業ですが、送金してしまった後の具体的な対応方法についてご説明いたします。
このページの目次
1 すぐに警察へ相談する
まず大前提として、詐欺被害に遭ったと気づいたら、速やかに最寄りの警察署へ相談してください。
①被害届の提出
被害の内容や経緯を詳しく伝え、被害届を提出します。
警察は事件として捜査を開始することがあり、詐欺グループの一端が明らかになることもあります。
②振り込め詐欺救済法の適用
特定の口座に送金した場合、「振り込め詐欺救済法」という法律の対象になることがあります。この制度は、詐欺グループが使用した口座の凍結後、被害者に返金する可能性を残すものです。警察が認定すれば、口座内の残額から被害額の一部が返金されることもあります。
2 銀行へ連絡し口座の停止を依頼する
送金先が国内の銀行口座であれば、できるだけ早く銀行に連絡を入れ、口座の停止措置や被害回復手続きを依頼しましょう。
ただし、送金後時間が経過していると、詐欺師がすでに引き出している可能性が高いため、一刻も早い対応が重要です。
3 海外送金の場合:送金業者等への連絡
もし国際送金をしてしまった場合は、送金先の情報とともに送金業者等へ至急連絡を入れましょう。
4 消費生活センターや専門機関への相談
詐欺の被害に遭われた方は、精神的にも大きなショックを受けている場合が多いです。
一人で抱え込まず、消費生活センターや法テラス、弁護士などの専門機関に相談してください。
なお、非常に残念なことではありますが、昨今、送金したお金を取り戻すことが非常に困難であるにもかかわらず、あたかもある程度のお金を取り戻すことができるかのように誤解させて着手金を得ようとする弁護士が存在しますので、弁護士にご相談いただく場合には、必ず複数の弁護士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。
5 冷静な行動を心がけましょう
ロマンス詐欺で送金してしまったとしても、迅速かつ適切な対応によって被害を抑えたり、回復の可能性を残すことができます。
具体的には、警察への通報、銀行への連絡、専門家への相談を通じて、冷静に行動することが大切です。
詐欺被害に遭ったことで自責の念を感じる方も多いですが、詐欺師が悪いのは明白です。一人で悩まず、まずは信頼できる専門家へご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。