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1 相談内容
飲食店を経営しています。
最近、Googleマップの口コミに星1の低評価をつけられたうえで、「料理に虫が入っていた」「店員の態度が最悪でボッタクリだ」などと書き込まれました。
しかし、料理に虫が入っていた事実はありませんし、不当な料金を請求したこともありません。まったく身に覚えのない内容です。
この口コミが表示されるようになってから、予約のキャンセルが出たり、新規のお客様が減ったりしており、実際に営業への影響も出ています。
Googleに違反報告をしましたが、「ポリシー違反ではない」と判断され、削除してもらえませんでした。このような口コミを削除したり、投稿者を特定したりすることはできるのでしょうか。
2 弁護士の回答-虚偽の事実を書かれている場合、削除や投稿者特定を検討できます
Googleマップの口コミは、飲食店や美容院、クリニックなど、地域のお客様を相手にする事業者にとって非常に重要です。来店前に口コミを確認する人も多く、星の数や口コミの内容が、予約や来店の判断に直結することも少なくありません。
そのため、事実と異なる悪質な口コミを放置すると、「この店では本当に不衛生な料理が出るのではないか」「不当な料金を請求されるのではないか」と受け取られ、売上や信用に大きな影響が出るおそれがあります。
結論として、「料理に虫が入っていた」「ボッタクリだ」といった内容が事実無根である場合には、名誉毀損、信用毀損、業務妨害などを理由に、口コミの削除や投稿者の特定を検討できます。根拠のない「商品に虫が混入していた」といった書き込みは、店の信用を傷つけるものとして信用毀損罪に該当し得ると説明されています。
もっとも、Googleに単に違反報告をしただけで、必ず削除されるわけではありません。Googleは独自のポリシーに基づいて口コミを審査しますが、事業者側が「事実と違う」と訴えても、Google側だけでは真偽を判断しにくい場合があります。そのため、任意の削除依頼で削除されない場合には、裁判所を通じた手続きや、発信者情報開示請求を検討することになります。
3 削除・特定しやすい口コミと、難しい口コミの違い
法的対応を検討するうえで重要なのは、その口コミが「事実」を述べているのか、それとも単なる「感想・意見」にとどまるのかという点です。
たとえば、「料理に虫が入っていた」「賞味期限切れの食材を出している」「会計で不当な料金を請求された」といった書き込みは、客観的に真実かどうかを判断できる内容です。このような事実が書かれており、かつそれが虚偽である場合には、店の社会的評価や信用を低下させるものとして、削除や投稿者特定の対象になり得ます。
ご相談の「料理に虫が入っていた」という投稿は、飲食店にとって衛生管理への信頼を大きく損なう内容です。また、「ボッタクリだ」という表現も、不当請求や悪質な営業をしているという印象を与えるため、単なる不満を超えて、店の信用を害する表現と評価される可能性があります。
一方で、「おいしくなかった」「接客が合わなかった」「雰囲気が暗かった」「価格が高く感じた」といった口コミは、利用者の主観的な感想や評価として扱われやすく、削除や発信者情報開示が難しい場合があります。価格、対応スピード、接客態度などサービスの満足度に関する主観的なコメントについては、法的手続をとるべきか慎重に検討する必要があるとされています。
つまり、口コミが不快である、低評価であるというだけでは足りません。法的に対応するには、その口コミがどのような権利侵害に当たるのか、そして虚偽であることをどのように示すのかが重要になります。
4 コメントのない「星1」だけの評価は難しい
Googleマップでは、コメントを書かずに星だけをつけることもできます。
このような「星1だけ」の評価については、法的に削除や投稿者特定を行うことはかなり難しいのが実情です。なぜなら、星の数は利用者の主観的評価であり、それだけでは具体的な事実が示されていないためです。
たとえば、コメントなしの星1評価だけでは、その人が何を理由に低評価をつけたのか分かりません。料理、接客、価格、雰囲気、待ち時間など、さまざまな理由が考えられます。事実の摘示がない以上、名誉毀損や信用毀損に当たると主張することは容易ではありません。
実際にも、星だけの評価については、口コミがなければポリシー違反や刑法上の問題に該当するか判断しにくく、削除は難しいと説明されています。
したがって、コメントのない低評価については、法的措置よりも、誠実な店舗運営、丁寧な返信、良い口コミを自然に増やす取り組みなど、評判管理の観点から対応することが現実的です。
5 お店側がしてはいけない対応
悪質な口コミを見つけると、強い怒りを感じるのは当然です。特に、事実無根の内容で売上に影響が出ている場合には、すぐに反論したくなるでしょう。
しかし、口コミへのオーナー返信で感情的に反論することは避けるべきです。
たとえば、「そんな事実はない。誰か分かっている」「訴えてやる」「二度と来るな」といった攻撃的な返信をすると、その返信自体が他の利用者に見られます。その結果、口コミの内容以上に、「この店の対応は怖い」「トラブルになりそうだ」という印象を与えてしまうおそれがあります。
また、相手に法的措置をちらつかせることで、投稿やアカウントを削除され、証拠や投稿者特定の手がかりを失う可能性もあります。
返信する場合には、感情的な表現を避け、事実確認を行っていること、店舗として衛生管理や適正な会計を重視していること、必要に応じて個別に連絡を求めることなどを、落ち着いた文面で記載するにとどめるのがよいでしょう。投稿者を罵倒したり、いきなり「法的措置を取る」と強い表現で威嚇したりする返信は、スクリーンショットで拡散され、二次的な炎上につながるおそれがあると指摘されています。
6 まず確保すべき証拠
法的対応を検討する場合、最初に行うべきことは証拠保全です。
最低限、次の資料を保存しておくべきです。
- 問題となる口コミのスクリーンショット
- 投稿者名・アイコン・プロフィール画面
- 口コミの投稿日
- 店舗名、Googleマップ上の掲載ページ
- 口コミのURL
- 星評価とコメント内容が分かる画面
- 予約キャンセルや売上減少など、実害を示す資料
- 衛生管理記録、当日の営業記録、会計記録など、投稿内容が虚偽であることを示す資料
特に「虫が入っていた」と書かれた場合には、当日の仕入れ・調理・提供状況、クレームの有無、保健所対応の有無、店内の衛生管理記録などが重要になります。
「ボッタクリ」と書かれた場合には、メニュー表示、会計伝票、レシート、料金体系、追加料金の説明状況などを整理しておく必要があります。
7 法的措置の流れ
Googleへの通常の違反報告で削除されない場合、法的措置としては、大きく分けて次の手続きが考えられます。
1つ目は、Googleに対する削除仮処分です。これは、裁判所に対して、問題の口コミが名誉毀損や信用毀損に当たることを主張し、Googleに削除を命じるよう求める手続きです。Googleに対して削除仮処分を求めることで、口コミを削除できる可能性があるとされています。
2つ目は、発信者情報開示請求です。これは、口コミを書いた投稿者を特定するための手続きです。Googleやアクセスプロバイダに対して、投稿者に関する情報の開示を求めます。投稿者が特定できれば、その後、損害賠償請求や再発防止の交渉を行うことが可能になります。口コミ投稿者に損害賠償請求をするには、その前提として、Googleやアクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求によって投稿者を特定する必要があると説明されています。
3つ目は、投稿者に対する損害賠償請求です。実際に予約キャンセルや売上減少が生じている場合には、その損害との因果関係を整理し、慰謝料や営業損害の請求を検討します。ただし、損害額の立証には資料が必要ですので、売上データやキャンセル記録を早めに保全しておくことが重要です。
8 対応は早いほど有利です
Googleマップの口コミトラブルでは、対応の早さが重要です。
投稿が削除されたり、アカウント情報やアクセスログの保存期間が経過したりすると、投稿者の特定が難しくなる可能性があります。Google側やプロバイダ側のログは一定期間が過ぎると消去されるため、迷っているうちに特定が困難になることがあると指摘されています。
特に、営業への影響が出ている場合には、「もう少し様子を見よう」と放置するよりも、早めに証拠を確保し、法的対応が可能な事案かどうかを確認することが大切です。
9 まとめ
Googleマップの口コミであっても、「料理に虫が入っていた」「ボッタクリだ」など、客観的な事実を示す内容が虚偽である場合には、削除や投稿者特定を検討できます。
一方で、「おいしくなかった」「接客が悪かった」といった主観的な感想や、コメントのない星1評価だけの場合には、法的対応が難しいこともあります。
重要なのは、口コミの内容が単なる感想なのか、虚偽の事実を示しているのかを見極めることです。そして、法的対応を検討する場合には、感情的に反論する前に、口コミの画面、投稿者情報、売上への影響、投稿内容が虚偽であることを示す資料を保存しておく必要があります。
悪質な口コミは、放置すると店舗の信用に大きな影響を及ぼします。Googleへの報告で削除されない場合でも、法的手続きによって削除や投稿者特定が可能なケースがありますので、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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