Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

労働組合における名誉毀損

2024-02-27

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年10月29日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

会社在職中に労働組合の組合員であった原告が、会社を退職後、当該労働組合の幹部である被告らが、①会社内の会議で原告が破産する旨発言して原告の名誉を毀損させるとともに、②組合の集会において、所属組合員に対し、原告が破産する旨が記載された資料を配布するとともにこれを読み上げ、もって原告の名誉を毀損したと主張し、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告らが本件発言を行った当時、原告について破産手続は未だ開始されていなかったから、官報公告の存在を理由に本件発言による原告の社会的評価の低下を否定することはできない。また、たとえ破産者の破産の事実が官報公告されるとしても、現実にこれを認識することができる者は限られており、その情報に接していない大多数の者にとっての当該破産者の社会的評価はなお保護に値するというべきであるから、本件発言後に原告が破産し、これについて官報公告がされたことによって、本件発言において原告の社会的評価を低下させるに足りるものというべきである。

②被告らが指摘する従前の使途不明金の発生の経緯等を踏まえても、被告らの上記主張を裏付ける具体的な事情があったと認めることは困難である。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないと思ってのものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を低下させるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

名誉毀損は、民事上の問題となるにとどまらず刑事事件に発展するリスクもありますので、心持としては、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてあります。そのため、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

ネットスラングと名誉毀損

2024-02-22

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

特に、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月10日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被告がツイッター(現X)において原告を揶揄する投稿を繰り返したことを踏まえて、原告が被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告が投稿した「統失」との用語は、統合失調症を意味すると解することができ、同記載は、原告が統合失調症に罹患していることを述べるものと解することができる。そして、統合失調症は、社会生活に支障を来し得る精神疾患であると理解されているということができ、これらを踏まえると、本件投稿は原告の社会的評価を低下させるものというべきである。

②慰謝料額を検討する上では、本件投稿の記載内容が精神疾患に関するものであり原告の社会的評価を相応に低下させ得るものであること、本件投稿は会員制オンラインサロンでされたものであり閲覧者は限定されるものの会員数が3200名を超えるサロンであることからすると相応の影響があると考えられること、他方、このようなサロンの主催者への批判はある程度受忍すべきものであること等を総合的に踏まえる必要がある。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてあります。被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ何らかのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

婚姻関係に関する投稿と名誉毀損

2024-02-17

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が、被告がツイッター(現X)上の自身の公式アカウントにおいて行った2件の投稿が、原告夫婦の婚姻関係が不調であることを窺わせるものであることから、名誉を毀損され、かつ、プライバシーを侵害されたと主張して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①投稿内容は、本件投稿の読者に対し、原告夫婦の婚姻関係が、何年もの別居及び離婚調停を経て、離婚訴訟に至るほどに悪化しているとの印象を抱かせるものではあるが、現代の我が国において,夫婦が婚姻関係の破綻によって離婚に至ること自体は特に稀な事象ではないことを踏まえると、婚姻関係が悪化した経緯や原因等についての具体的な事情を離れて、当該事実が摘示されただけでは原告の社会的評価を低下させるものとは認め難い。

②一般に、家庭内における婚姻関係、特に夫婦間のトラブルに関する事実は、家庭外に知られることを望まないのが通常であり、上記事実のように、夫婦が別居し、離婚調停を経て離婚訴訟において係争する事態にまで至り、婚姻関係が破綻したとの事実は、夫婦間のトラブルの中でも深刻なものであって、一般人の感受性を基準にすれば、公開を欲しないものというべきである。したがって、上記事実を公表した本件各投稿は、原告のプライバシーを侵害するものと認められる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

特に名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあります。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護人に対する名誉毀損

2024-02-12

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件となる可能性もありますので十分に注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

刑事被告人であるAが保釈中に密出国した事件に関して、被告が発行する新聞に掲載した記事の内容により、Aの弁護人であった原告らが、その名誉及び信用を毀損されたと主張して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①原告らは、弁護士ないし弁護士法人であって、刑事司法制度の担い手としてその廉潔性を保持すべき職責を負っているというべきところ、原告らが本件密出国につき道義的責任を負う旨の新聞紙上の指摘は、原告らが上記職責を果たしておらず刑事司法制度を蔑ろにしているとの印象を抱かせ得るものである。そのため、原告らの社会的評価を低下させ、その信用ないし名誉を毀損するものであると認められる。

②本件発言部分を含む本件記事は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあって、本件発言部分が前提としている事実が重要な部分について真実であると認められ、意見ないし論評としての域を逸脱したものでもないから、本件記事を掲載した被告らの行為については違法性が阻却されるものと解される。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。新聞等の場合は、違法性が阻却されるケースもあり得ますが、一般人がSNS等に投稿した内容について違法性が阻却されることは滅多にありませんので、自身の判断で問題ないと考えてしまう事には大きなリスクがあります。

以上を踏まえ、SNS等に投稿する場合には最大限の注意を払っていただく必要がありますが、万一トラブルに巻き込まれてしまった場合には、どのような対応を取るべきかを慎重に検討するためにも、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

病院に対する名誉毀損

2024-02-07

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月22日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

病院の院長である原告が、被告がSNS上に投稿した一連の投稿によって名誉を毀損され、精神的損害を被ったと主張して、被告に対して不法行為に基づき損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件投稿全体を一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すると、引用部分に記載された内容が本件SNSに投稿されているという事実のみならず、その内容のような事実が存在したことを摘示したものと理解され、被告が本件投稿を行うことにより、引用部分を含めて本件SNSの利用者が閲読可能な状態になる以上、被告の行為により原告の社会的評価は低下するものといえる。

②被告は、本件投稿をした当時インターネット上に原告の診療態度等について批判的な言動を行うレビュー記事があったことや写真週刊誌等で専門家から原告の対応に批判的な言及がされていた旨主張するが、被告は、これを裏付ける証拠を一切提出していない。

③本件投稿に引用された部分は既に本件SNSに投稿されていたものであること、本件投稿については、本件投稿後、コメントやリツイートはされていないこと等の本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告が被った精神的損害に対する慰謝料としては20万円が相当である。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあることを踏まえますと、可能であれば不用意な投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。 ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

掲載写真に対する名誉毀損

2024-02-02

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年12月9日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

ブロガーとして活動する原告が撮影した自身の子供の写真をブログに掲載したところ、被告がインターネット上の匿名電子掲示板において、原告の子供を揶揄する内容の投稿を行った。これに対して、原告が発信者情報開示請求において被告を特定した上で、被告に対して名誉権又は名誉感情を違法に侵害された旨主張して、不法行為による損害賠償請求権を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各投稿は、本件掲示板内に書かれたコメントであるところ、原告が自身の娘の話題についてした投稿に対するコメントであること等からすれば、本件各投稿は、原告及び原告の娘に関する投稿であると評価するのが相当である。

②本件各投稿は、その表現内容、文脈及び本件掲示板が原告に対する批判的内容を掲載することが想定されているものと見受けられることに照らせば、これらの摘示事実は、原告の社会的評価を低下させ、社会通念上許される限度を超えて原告の名誉感情を害する違法なものであると認められる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないと思ってのものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を低下させるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。名誉毀損は、民事上の問題となるにとどまらず刑事事件に発展するリスクもありますので、心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

教授会における名誉毀損

2024-01-28

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件となる可能性もありますので十分に注意が必要です。

本日は、1つの事例として、京都地方裁判所判決令和3年12月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、被告の設置する大学の准教授であったが、教授への昇任審査に係る教授会において議案が否決されたことに関して、出席者らが原告に関する名誉棄損に類する発言をした一方で、当該会議の議長が原告に弁明の機会を与えることなく議事を進行したこと等を理由として、被告に対して使用者責任として損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①昇任審査の教授会の場においては,候補者の教授としての適格性について自由に議論されることが想定されているところ,C准教授の発言内容自体は原告の教授としての適格性を判断する上で関連性を有しないものではなく、不当な目的のために上記発言をしたとまでは認められない。

②本件教授会に出席していた教授会構成員にとって、原告が懲戒審査の対象になったことが既に知られた事実であったとはいえないから、これを公表されない法的利益は認められるべきであり、当該教授の発言は、原告のプライバシーを侵害するものとして不法行為が成立する。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に、名誉毀損や侮辱といった誹謗中傷行為は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあり、万一そのような事態となってしまった場合には人生に大きな悪影響を及ぼしますのでくれぐれも注意が必要です。

ただ、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

ブログ上の名誉毀損

2024-01-23

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

特に、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、千葉地方裁判所判決令和3年12月17日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被害者の子供が行方不明となった事件について、被告人が、インターネット上に開設した自身のブログ上において、被害者が当該事件を利用した詐欺行為を行っておりその捜査対象となっているかのような事実や人身売買や臓器売買の対象とした誘拐に関与しているかのような事実を記載した文章を掲載したことに対して、名誉毀損罪に該当するかどうかが争われた事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告人のブログを閲覧した者は、通常、当該文章は本件被害者について書かれたものであり、捜査権限を有する国家機関である検察において、事件として取り上げるに足る証拠に基づき、本件被害者が本件児童の行方不明に関連して詐欺行為又はその他の犯罪行為を行っているとの嫌疑を抱いて本件被害者を捜査対象としているものと捉え等の可能性が十分にあるものであり、本件被害者の社会的評価を害するに足る事実を摘示したものといえる。

②本件で、問題となっている各事実について、合理的な疑いを容れることができない証拠はもとより、証拠の優越程度の証拠すら存在しないものと判断するほかなく、本件で刑法230条の2第1項に定める真実であることの証明がなされたとはいえない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もありますので十分に注意することが必要です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ何らかのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

芸能事務所における名誉毀損

2024-01-18

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年12月23日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

芸能プロダクションとして設立された原告が、専属芸能人契約を締結した被告らが①グループ名の無断変更、②虚偽の事実をあたかも真実の原告の内部情報であるかのように装い、インターネット上に公開、公表したことが、債務不履行又は不法行為に該当するとして、損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告の役割に照らせば、原告の承諾無く本件ユニットの名称を変更し、メンバーに対し新たな名称で活動を行う旨を伝えることにより、本件ユニットの活動が困難になることは容易に認識することができたものと認められる。そのため、飛行の行為は不法行為に該当する。

②そもそも、いかなる情報をマスコミや他のユーチューバーに伝えたか不明である上、仮に、当該行為が名誉毀損行為に該当するとしても当該行為を行ったのは、被告ではなく、第三者であると解されるから、被告が、原告及び原告の専属タレントの名誉を毀損したとは認められない。そのため、被告の行為は債務不履行には該当しない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。そのため、心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

漫画と名誉毀損

2024-01-13

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、大阪地方裁判所判決令和3年12月24日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が、被告が執筆し被告会社が雑誌に掲載及び出版して電子書籍としてインターネット上で配信した漫画に関して、当該漫画が自身の子供が死亡した事件を題材によって作成されたものであり、その内容によって名誉を毀損されたとして、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償金の支払い、及び同漫画について、インターネット配信等の一切の方法による公表の差し止めを求めた事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件作品は、雑誌に掲載されたほか、電子書籍の一部としてインターネット上で不特定多数の者に対し公開されており、その閲覧者の中には原告らと面識がある者等が含まれているものと推認されること、これらの読者の中には、本件作品を読んで初めて原告らについて、それまで知っていた情報以上の情報を得た者がいた可能性も否定できないことなどからすれば、名誉毀損の不法行為が成立するかの判断の前提となる、いわゆる同定可能性については、本件作品の読者一般ではなく、そのような者を基準として行うのが相当である

②また、被告らは、虐待の事実については報道やインターネット上に流布した情報について真偽や、情報の出所等について確認することもなく漫然と鵜呑みにしたというほかなく、このような調査は、特定の人物と同定可能な形で他者の名誉を毀損する表現をした場合に違法性や民事上の故意過失を阻却するに足りないものと考えられる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

そのため、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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