教授会における名誉毀損

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件となる可能性もありますので十分に注意が必要です。

本日は、1つの事例として、京都地方裁判所判決令和3年12月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、被告の設置する大学の准教授であったが、教授への昇任審査に係る教授会において議案が否決されたことに関して、出席者らが原告に関する名誉棄損に類する発言をした一方で、当該会議の議長が原告に弁明の機会を与えることなく議事を進行したこと等を理由として、被告に対して使用者責任として損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①昇任審査の教授会の場においては,候補者の教授としての適格性について自由に議論されることが想定されているところ,C准教授の発言内容自体は原告の教授としての適格性を判断する上で関連性を有しないものではなく、不当な目的のために上記発言をしたとまでは認められない。

②本件教授会に出席していた教授会構成員にとって、原告が懲戒審査の対象になったことが既に知られた事実であったとはいえないから、これを公表されない法的利益は認められるべきであり、当該教授の発言は、原告のプライバシーを侵害するものとして不法行為が成立する。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に、名誉毀損や侮辱といった誹謗中傷行為は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあり、万一そのような事態となってしまった場合には人生に大きな悪影響を及ぼしますのでくれぐれも注意が必要です。

ただ、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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