婚姻関係に関する投稿と名誉毀損

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が、被告がツイッター(現X)上の自身の公式アカウントにおいて行った2件の投稿が、原告夫婦の婚姻関係が不調であることを窺わせるものであることから、名誉を毀損され、かつ、プライバシーを侵害されたと主張して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①投稿内容は、本件投稿の読者に対し、原告夫婦の婚姻関係が、何年もの別居及び離婚調停を経て、離婚訴訟に至るほどに悪化しているとの印象を抱かせるものではあるが、現代の我が国において,夫婦が婚姻関係の破綻によって離婚に至ること自体は特に稀な事象ではないことを踏まえると、婚姻関係が悪化した経緯や原因等についての具体的な事情を離れて、当該事実が摘示されただけでは原告の社会的評価を低下させるものとは認め難い。

②一般に、家庭内における婚姻関係、特に夫婦間のトラブルに関する事実は、家庭外に知られることを望まないのが通常であり、上記事実のように、夫婦が別居し、離婚調停を経て離婚訴訟において係争する事態にまで至り、婚姻関係が破綻したとの事実は、夫婦間のトラブルの中でも深刻なものであって、一般人の感受性を基準にすれば、公開を欲しないものというべきである。したがって、上記事実を公表した本件各投稿は、原告のプライバシーを侵害するものと認められる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

特に名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあります。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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