相手方の性加害を投稿する場合

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年12月18日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告と被告は、マッチングアプリのサービスを利用して出会い肉体関係を持つに至ったが、その後、原告から関係性を一方的に終了されたことを機に、被告が自身のSNSにおいて、原告の個人情報を無断で公開するとともに原告が性犯罪者である等と記載する投稿を行った。この一連の被告の行動に対して、原告が名誉毀損に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案である。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各投稿は、「原告の容貌,氏名,年齢,出身地,学歴,身長,勤務先等の個人情報を,インターネット上に公開するものであり,原告は,かかる個人情報により個人として特定された上で,強制わいせつ罪及び強制性交罪に及んだ犯罪者であるとの事実の摘示をされるなどしたものと認められる。本件では,原告が性犯罪をしたことをうかがわせる証拠はなく,原告が性犯罪者であるとは認められないところ,個人が性犯罪歴を有するとの虚偽の事実の摘示は,社会的評価を著しく低下させるものである」。

②加えて、本件各投稿の内の一部の投稿は、原告の勤務先に関連するウェブページにおいて投稿されたものであり、その閲覧者との関係で原告の精神的損害は特に大きいものといえる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、重要なことですが、名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、前科となるおそれがあり、当人のその後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要であることを再度ご注意ください。

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