名誉毀損罪の運用状況について③

侮辱罪が厳罰化された、というニュースを聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

現在の侮辱罪の刑罰は、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となり、厳罰化されました。

これに対して名誉棄損罪は、「3年以下の懲役、禁錮又は50万円以下の罰金」という法定刑が規定されております。

名誉毀損罪と侮辱罪とは一般の方の感覚ではあまり違いがないものと思いますが、事実を摘示するかどうかというところに根本的な違いがございます。

本日は、名誉毀損罪の運用状況についてご紹介いたします。

1 名誉毀損罪の運用状況について

法務省が公表する資料を踏まえ、名誉毀損罪の科刑状況(過去5年)をみると、罰金刑がかされるケースが大多数を占めております。

過去5年間の具体的な罰金刑の科刑状況は以下のとおりです。

①平成28年度 罰金刑122名、内50万円の罰金6名、40万円以上の罰金3名、30万円以上の罰金30名、20万円以上の罰金49名、10万円以上の罰金33名、10万円未満の罰金1名

②平成29年度 罰金刑130名、内50万円の罰金2名、40万円以上の罰金3名、30万円以上の罰金41名、20万円以上の罰金57名、10万円以上の罰金27名、10万円未満の罰金0名

③平成30年度 罰金刑128名、内50万円の罰金6名、40万円以上の罰金0名、30万円以上の罰金30名、20万円以上の罰金63名、10万円以上の罰金28名、10万円未満の罰金1名

④令和元年度  罰金刑153名、内50万円の罰金6名、40万円以上の罰金4名、30万円以上の罰金39名、20万円以上の罰金61名、10万円以上の罰金42名、10万円未満の罰金1名

⑤令和2年度  罰金刑170名、内50万円の罰金2名、40万円以上の罰金3名、30万円以上の罰金46名、20万円以上の罰金72名、10万円以上の罰金46名、10万円未満の罰金1名

名誉毀損罪に関しては、罰金刑が科されるにとどまるケースが圧倒的に多いものの、懲役刑が科されるケースも一定程度は存在するということには注意する必要があります。

2 インターネットトラブルが発生した場合には早期に弁護士を含む専門家にご相談ください

インターネットトラブルに関しては、インターネット上で様々な解説がなされている所ではありますが、正直なところ玉石混交の情報といわざるを得ず、そのような情報に触れるとますます混乱してしまうと思います。 そのため、自分がインターネットトラブルに巻き込まれてしまったと思われた場合には、まずは弁護士を含む専門家にご相談いただき、迅速かつ慎重に対応方針を検討いただくことを強くお勧めいたします。

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