名誉毀損罪の運用状況について②

侮辱罪が厳罰化された、というニュースを聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

現在の侮辱罪の刑罰は、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となり、厳罰化されました。

これに対して名誉棄損罪は、「3年以下の懲役/禁錮/50万円以下の罰金」という法定刑が規定されております。

名誉毀損罪と侮辱罪とは一般の方の感覚ではあまり違いがないものと思いますが、事実を摘示するかどうかというところに根本的な違いがございます。

本日は、名誉毀損罪の運用状況についてご紹介いたします。

1 名誉毀損罪の運用状況について

法務省が公表する資料を踏まえ、名誉毀損罪の科刑状況(過去5年)をみると、懲役刑となる事例が一定程度あります。

過去5年間の具体的な懲役刑の科刑状況は以下のとおりです。

①平成28年度 懲役刑20名、内2年以上の懲役2名、1年以上の懲役14名、6月以上懲役4名

②平成29年度 懲役刑22名、内2年以上の懲役1名、1年以上の懲役18名、6月以上懲役3名

③平成30年度 懲役刑12名、内2年以上の懲役1名、1年以上の懲役8名、6月以上懲役3名

④令和元年度  懲役刑24名、内2年以上の懲役3名、1年以上の懲役15名、6月以上懲役6名

⑤令和2年度  懲役刑9名、内1年以上の懲役7名、6月以上懲役2名

名誉毀損罪に関しては、罰金刑が科されるにとどまるケースが圧倒的に多いものの、懲役刑が科されるケースも一定程度は存在するということには注意する必要があります。

なお、刑罰の内容について補足いたしますと、「懲役刑」とは、実刑の場合と執行猶予付きの場合とを含めた数字となっております。

2 インターネットトラブルが発生した場合には早期に弁護士を含む専門家にご相談ください

インターネットトラブルに関しては、インターネット上で様々な解説がなされている所ではありますが、正直なところ玉石混交の情報といわざるを得ず、そのような情報に触れるとますます混乱してしまうと思います。

また、名誉毀損に関しては、問題となっている部分が、民事事件であるのか、それとも刑事事件であるのかによって対応すべき内容は異なり、まさにケースバイケースの対応が求められ、かつ早期に対応を迫られる場合も少なくありません。

そのため、自分がインターネットトラブルに巻き込まれてしまったと思われた場合には、まずは弁護士を含む専門家にご相談いただき、迅速かつ慎重に対応方針を検討いただくことを強くお勧めいたします。

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