インターネットトラブルで最も多いものは、インターネット上の匿名掲示板やSNS上における誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿がなされるというものです。
被害者の方は名誉権侵害を主張することになることが通常ですが、その際に、最初に問題となる論点は、同定可能性の論点です。
本日は、名誉権侵害における同定可能性の論点の考え方をご紹介いたします。
このページの目次
1 名誉権侵害における同定可能性の考え方
名誉権侵害における同定可能性の判断基準は、一般読者の注意と読み方となります。
ここで、「一般読者」といっても、国民一般が対象となるわけではありません(国民一般を判断基準とすると、同定可能性が認められるハードルは非常に高いものとなってしまいます。)。
そのため、①被害者の方を知らない読者であっても、インターネット上の投稿内容を踏まえると当該被害者の方を発見することができる場合や、②被害者の方の知人であれば、インターネット上の投稿内容を踏まえると、被害者のことと特定することができる場合、であれば同定可能性が認められるものと考えられております。
また、同定可能性を検討する上では、当該投稿の内容単体のみに基づいて判断するのではなく、「本件スレッドの他の書き込みの内容、本件書き込みがなされた経緯等を考慮」(最判平22・4・13民集64・3・758)することが認められている点も重要です。そのため、投稿内容単体では明確に被害者の方に言及していない場合でも、スレッドの前後の書き込みの内容から、被害者の方を言及していると判断できる場合には、名誉権侵害における同定可能性が認められますので、注意が必要です。
2 まずは弁護士にご相談ください
以上のとおり、名誉権侵害における同定可能性の判断は、法的な視点を踏まえて、慎重に検討を進める必要がある最初の論点となります。
そのため、最終的にどのような対応を進めるかは別として、まずは弁護士にご相談いただき、慎重に検討することが重要です。
当事務所は、インターネットトラブルを幅広く取り扱っております。
インターネットトラブルにおける被害者の方からのご相談、加害者からのご相談を問わずお受けしております。
インターネットトラブルでお悩みの方はご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。