名誉感情侵害の場合における同定可能性について

インターネット上の匿名掲示板やSNS上における誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿がなされた場合、まずは名誉権侵害の有無を検討することとなります。

名誉権侵害の有無の検討においては、同定可能性、すなわち、被害者のことを指した投稿と判断できるかどうかが第一に問題となります。

同定可能性に関する議論はなかなか複雑なものがありますが、名誉権侵害の有無を検討する場合には避けて通れない論点と言えます。

そこで、本日は、名誉感情侵害の場合における同定可能性に関してご紹介いたします。

1 名誉感情侵害の場合における同定可能性について

名誉感情侵害は、被害者の方の感情の問題ですが、通常の名誉権侵害の場合と同様に同定可能性を問題とするべきであるとの見解もあります。

しかしながら、名誉感情侵害は被害者の方の内心の問題ですので、厳密には同定可能性は問題とならないと考える立場もあります。

例えば、福岡地方裁判所の裁判例(福岡地判令元9・26判時2444・44)ですが、「対象者が自己に関する表現であると認識することが出来れば成立しうる」とされ、名誉感情侵害に同定可能性を要件としていないと考えられております。ただ、この裁判例も厳密には同定可能性を問題としていないわけではなく、通常の名誉権侵害の場合とは異なる意味(すなわち、同定可能性の基準を一般読者の読み方と注意ではなく被害者を基準としている)での同定可能性を問題としているものと考えられます。

なお、実際のところ、通常の名誉権侵害と名誉感情侵害は同時に主張するという方針を採用する場合が多いので、通常は名誉感情侵害における同定可能性を問題とする必要がありません。

2 まずは弁護士にご相談ください

同定可能性に関する議論は難しい面もあり、なかなか被害者の方がご自身で整理をして適切な主張を行うことにはハードルがあります。

最終的にどのような対応を取るにせよ、まずは弁護士にご相談いただき、対応を慎重に検討いただくことをお勧めいたします。

当事務所では、インターネットトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。

インターネットトラブルで被害者となってしまった方、加害者となった方、いずれの立場からのご相談もお受けしておりますので、インターネットトラブルでお悩みの方はご遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

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