広告法務の基本②景品表示法における「優良誤認表示」とは?

1 優良誤認表示に関して

景表法は、消費者の自主的かつ合理的な選択を守るために、事実と異なる、または著しく誇張された表示を規制することを目的としています。

その中でも「優良誤認表示」は、実際の品質や内容よりも著しく優れていると消費者に誤認させる表示を意味します。

たとえば、「A大学の教授が推薦する驚きの効能!」、「医師も使用するプロの性能!」といった表現は、一見して信頼性の高い印象を与えますが、実際には特定の個人の私的な感想にすぎない場合等その根拠が不十分であれば優良誤認と判断されるおそれがあります。

また、「他社製品よりも圧倒的に効果あり」といった比較広告も、裏付けとなる客観的なデータがなければ同様のリスクがあるといえるでしょう。

2 広告表示と合理的な根拠資料はセットで捉える必要があります

景表法においては、こうした表示を行う場合、「合理的な根拠資料」を求められるのが大きな特徴です。

これは、表示の真実性を担保するためのものであり、調査報告書や試験成績、統計データなど、第三者の検証に耐えうる『客観的な』資料である必要があります。仮に行政機関(消費者庁など)から求められた際にこれを提出できなければ、「不当表示」とみなされ、措置命令や課徴金の対象となる可能性があります。

例えば、健康食品や化粧品、サプリメントなどで、「肌年齢が10歳若返る」「体重が必ず減る」といった根拠のない効能表示が問題となることが多く、特に注意が必要です。

また最近では、SNSやYouTubeなどを通じて簡単に広告表現が拡散されるため、仮に問題のある表示があった場合、その影響は以前よりも迅速かつ広範囲に及んでしまうことも忘れてはならない重要なポイントです。

なお、「表示に誤認を与える意図がなかった」、要するに故意ではないとしても、景表法においては「表示自体が消費者に誤認を与えるか否か」が問題となります。つまり、広告主の主観的な意図は基本的に考慮されないという点にも改めて注意が必要です。

こうした背景から、広告表現においては、「これは大丈夫だろう」といった安易な判断を避け、常に客観的な視点と法的な観点からのチェックが求められます。

広告の制作段階で法務部門や弁護士が関与し、合理的根拠が整っているかどうかを確認することが、企業の信用と法的安全性を守る上で極めて重要です。 弊事務所では、広告のリーガルチェックの経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、広告に関してご不明な点やご不安な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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