和牛の飼養等の委託契約に関する広告表示の虚偽記載について

1 和牛の飼養等の委託契約に関する広告表示の虚偽記載について

和牛の飼養等の委託契約に関する広告表示に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年11月30日付措置命令)。

事案の概要としては、和牛の飼養等の委託契約等を商品として販売する事業者が、雑誌上等で、「これは、繁殖牛、つまり、子牛を出産させるために飼育している母牛のオーナーになってもらう制度です」等という内容の広告表示を行っていました。

このような記載がある場合、一般消費者としては、オーナーとなれば、契約期間を通じて繁殖牛の所有者となることができると認識するところです。

しかしながら、実際には、各事業年度末において、繁殖牛の全頭数は、オーナーの持分及び共有持分を合計した数値に比して過少であった。このため、繁殖牛を割り当てることができないオーナーに対し、雌の子牛、雌の肥育牛その他繁殖牛以外の牛を割り当てるということを行っていたことが判明しました。

その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

本ケースでは、制度の内容そのものに大きな欠陥がある状況であり、その制度の運用状況を適切に把握していれば、一般消費者の消費者行動は異なるものとなった可能性は十分と考えられるところであり、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であったことに異論はないでしょう。

なお、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。

他の事業者が同様の行為を行っていたとしても、それは他の事業者も問題があるというだけであり、自社の広告表示が適切であったことにはなりません。

2 サービスの広告表示の正確性には十分な注意が必要です

インターネットやSNSは、良い評判が広まれば、企業の売上を大きく伸ばすことに結びつきますが、その反対も同様であり、一度悪い評判がインターネット上で広まってしまうと、企業の評判を挽回することには非常に大きな労力が必要となるほか、場合によっては挽回が不可能ということも珍しい話ではありません。

特に、意図的に虚偽記載を行っていた場合はもちろんのこと、意図的に虚偽記載を行っていたと一般消費者に認識されてもやむを得ないケースでは、企業への悪い評判を挽回することはほぼ不可能と考えた方がよいとすらいえるところです。

円滑なビジネス運営を行うためには、企業への信頼を維持するために広告表示を適切に行う点に日常的に注意を払うとともに、第三者の視点を加味する意味でも広告表示に対するリーガルチェックを適切に実施していただくことを強くお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関する定期的なリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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