広告において「限定モデル」や「特別仕様」といった表現が使われることは珍しくありません。このような表現は消費者に対し、商品の希少性や特別感をアピールするための強力な手段です。
しかし、景品表示法(以下「景表法」)の観点からみると、不適切な使い方をすることで違反となるリスクがありますので注意が必要です。
このページの目次
1 景表法における「優良誤認表示」とは?
景表法の規定において、商品の品質や性能に関する表示が実際よりも著しく優良であると誤認させる場合、それは「優良誤認表示」に該当します。
「限定モデル」といった表現は、商品の特別感を演出するものですが、事実と異なる内容であれば、優良誤認とみなされる可能性があります。
2 「限定モデル」という広告表現の問題点
「限定モデル」として広告する際に問題となるケースには、以下のようなものがあります。
①数量限定の根拠がない場合
「数量限定100台!」と広告していながら、実際には100台以上を生産・販売している場合、これは虚偽の表示とみなされます。
このような表示は、消費者に「早く購入しなければなくなる」という心理的なプレッシャーを与え、不適切な取引を誘発する恐れがあります。
②期間限定の事実がない場合
「夏季限定モデル」と広告した商品が、実際には年中販売されている場合も問題となります。
このような場合、消費者は「今しか買えない」と誤解し、本来は購入しなかったはずの商品を購入する可能性があります。
③特別仕様でない場合
「特別仕様モデル」と宣伝した商品が、実際には通常モデルとほとんど同じ仕様である場合、これは優良誤認に該当する可能性があります。
たとえば、通常モデルに単純な付属品を加えただけで「特別仕様」とするケースがこれにあたります。
3 具体的な事例
ある家電メーカーが、夏季キャンペーンとして「夏季限定モデル」のエアコンを販売しました。このモデルは通常販売されているエアコンに「特別なデザイン」を施したものでした。
しかし、後に調査が行われた結果、その「特別なデザイン」が実際には通常モデルと全く同じものであることが判明しました。このケースでは、景表法における優良誤認に該当すると判断され、事業者に対し課徴金が科される事態となりました。
また、別のケースでは、ある店舗が「数量限定50台!」と広告した商品を、実際には広告期間終了後も継続的に販売していたことが明らかになり、これも有利誤認として問題視されました。
4 違反を防ぐために事業者が取るべき対策
①数量や期間に関する表示の根拠を明確化する
「数量限定」や「期間限定」といった表現を使用する場合は、その根拠となる事実をしっかりと記録し、必要に応じて証明できるようにしておく必要があります。
②商品仕様の説明を正確に行う
「特別仕様」や「限定デザイン」といった表現をする場合、その違いが具体的かつ明確であることを消費者に説明する責任があります。
③広告内容を第三者にチェックさせる
自社の広告表示が景表法に違反していないか、専門家や法律顧問にチェックを依頼することも有効です。