スマホゲームの「ガチャ」(「ガシャ」と呼ばれる場合もある)は、多くのユーザーにとって楽しみの一つですが、その表示や提供内容が景品表示法(以下、「景表法」)に違反し、優良誤認表示と判断されるケースがあります。今回は、ガチャにおける優良誤認表示の具体例と法的なポイントについてご紹介します。
このページの目次
1 景表法と優良誤認表示とは
景表法は、消費者を不当な取引から保護するための法律です。
その中で、「優良誤認表示」とは、商品やサービスの内容について、実際よりも著しく優良であると消費者に誤認させる表示を指します(景表法第5条第1号)。
具体例として以下が挙げられます。
①実際には低品質の商品を「最高級」「特別限定」と誇大に宣伝する
②実際に得られる結果が異なるのに「必ず成功」などと保証する表示
ガチャにおいては、キャラクターやアイテムの出現確率や性能が実際よりも高く見えるように表示された場合が該当する可能性があります。
2 ガチャにおける優良誤認表示の具体例
スマホゲームのガチャにおいて、以下のような表示が優良誤認に該当する場合があります。
①出現確率の虚偽表示
「最高ランクキャラクターが10%の確率で当たる!」と宣伝しながら、実際には5%以下である場合
②限定アイテムの誤解を招く表現
「今しか手に入らない限定アイテム」と宣伝しておきながら、後日同じアイテムが別のガチャで提供される場合
③誇張された性能表示
「この武器があればバトルで無敵!」と宣伝しながら、実際には他の武器と性能差がほとんどない場合。
④確率の非公開や誤解を招く演出
ガチャ演出で豪華なエフェクトが表示されると高ランクアイテムが出るように見せかけながら、実際にはランダムで選ばれる場合
3 法的責任と制裁措置
ガチャの表示が優良誤認表示に該当すると、公正取引委員会や消費者庁から措置命令が下される場合があります。この命令により、事業者は表示の是正や消費者への通知を求められます。
また、次のような制裁措置が課されることもあります。
①課徴金の支払い
優良誤認表示で得た不当な売上の一定割合を課徴金として支払う義務
②消費者トラブルへの対応
詐欺や損害賠償請求が発生する可能性があり、ゲーム事業者に多大な影響を与えることもあります
4 トラブルを防ぐための事業者側の注意点
スマホゲーム事業者は、景表法に抵触しないために以下の点を意識する必要があります。
①ガチャの出現確率や仕様を正確かつ明確に表示する。
②誇張された広告表現を避け、ユーザーが誤解しないよう努める。
③ユーザーからの苦情や指摘に迅速かつ誠実に対応する。
5 ユーザーとしての注意点
一方、ユーザーもトラブルを防ぐために以下を意識しましょう。
①ガチャの確率や仕様を公式サイトで確認する
②誇大な広告に踊らされず、冷静に判断する
③トラブルが発生した場合は消費者庁や弁護士に相談する