情報商材・投資系商材の広告表現と法的リスク

「スマホだけで月収100万円」「1日5分で不労所得」「上場確実な未公開株」「誰でも再現性100%」――SNSや動画広告では、このような情報商材や投資話の広告が頻繁に表示されます。

しかし、こうした商材は、購入するまで中身を確認しにくく、購入後に「内容が薄いPDFだけだった」「説明されたようには稼げなかった」「返金保証があると言われたのに返金されない」といったトラブルが生じやすい分野です。内閣府資料でも、情報商材について、儲け話や内職などのノウハウをインターネットで販売するものと説明した上で、「中身が大したものではなかったので解約したい」「情報提供者と連絡が取れない」「儲けるために違法行為をさせられる」といった相談が急増していることが紹介されています。

情報商材や投資系商材の広告では、「売れるコピー」を優先するあまり、景品表示法、特定商取引法、消費者契約法、金融商品取引法、刑法上の詐欺罪などに抵触するリスクがあります。特に、収益を保証する表現、販売者情報を隠す表示、実態のない返金保証は、行政処分や返金請求、決済停止の引き金になります。

1 「誰でも簡単に稼げる」は危険な表示

情報商材のランディングページでよく見られるのが、次のような表現です。

  • スキル不要
  • 初心者でも必ず稼げる
  • 1日5分で月収100万円
  • 再現性100%
  • スマホだけで不労所得
  • 完全自動で収益化
  • 参加者全員が初月から黒字
  • リスクゼロ
  • 今だけ限定で確実に稼げる

これらは、購入者が同じ結果を得られるかのように誤認させる表示です。実際には、ごく一部の成功例にすぎない、前提条件が特殊である、追加費用や相当な作業が必要である、そもそも実績が存在しないといった場合には、景品表示法上の優良誤認表示や有利誤認表示、特定商取引法上の誇大広告に該当する可能性があります。

特定商取引法では、通信販売について、表示事項等に関し、著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良または有利であると人を誤認させるような表示が禁止されています。また、消費者契約法では、将来における不確実な事項について断定的判断を提供する行為が問題となり得ます。

「誰でも」「必ず」「確実」「100%」といった言葉は、情報商材広告では特に危険です。収益は、本人の能力、作業量、市場環境、広告費、在庫、資金力、プラットフォーム規約、運用タイミングなどに左右されるため、原則として保証できません。

2 一部の成功例を一般化してはいけない

実績表示にも注意が必要です。

「受講生Aさんが月収300万円達成」「主婦でも初月100万円」「サラリーマンが副業で年商1億円」といった事例を掲載する場合、その実績が本当に存在するのか、証拠があるのか、同じ商材を購入した一般消費者が通常期待できる結果なのかを確認する必要があります。

実績が一部の例外的な成功者だけのものなのに、購入者の多くが同じ成果を得られるかのように見せる広告は危険です。広告塔となる人物、預金残高画像、収益画面、顧客の声が架空・加工・誇張であれば、詐欺的商法と評価される可能性もあります。

情報商材被害の特徴として、勧誘ページでは「月収●万円達成できる」「誰でも億万長者になれる」と記載されている一方、購入するまで具体的な手法が分からないこと、広告塔が高額な残高画像などを示して、同じように稼げると勧誘することがあると指摘されています。

広告で実績を示すなら、少なくとも次の点を明確にすべきです。

  • 実績の対象期間
  • 実績者の属性
  • 必要だった作業量
  • 広告費・仕入費・外注費などの費用
  • 売上なのか利益なのか
  • 税引前か税引後か
  • 再現性の限界
  • 同様の成果を保証しない旨

ただし、注意書きを入れれば何でも許されるわけではありません。本文で「誰でも月収100万円」と強く訴求し、末尾に小さく「効果には個人差があります」と書いても、広告全体として誤認を招く場合は問題になります。

3 特定商取引法に基づく表示義務

情報商材の多くは、インターネット上で販売されるため、特定商取引法上の通信販売に該当します。通信販売では、販売価格、送料その他消費者が負担する金額、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品・解除に関する事項、販売業者の氏名・名称、住所、電話番号などを表示する必要があります。

特に問題になりやすいのは、販売者情報です。

  • 住所が虚偽
  • バーチャルオフィスだけで実態がない
  • 電話番号が記載されていない
  • 連絡先がLINEだけ
  • 販売者名が個人名・屋号だけで不明確
  • 責任者名がない
  • 海外法人を装っている
  • 返金窓口が存在しない

これらは、トラブル時に消費者が販売業者へ連絡できない状態を作るものであり、特定商取引法違反のリスクがあります。消費者庁も、特定商取引法について、消費者トラブルを生じやすい取引形態を対象に、事業者の不適正な勧誘・取引を取り締まる行為規制や、トラブル防止・解決のための民事ルールを定めていると説明しています。

また、通信販売では、契約の申込みとなることを誤認させる表示や、申込み内容について誤認させる表示も禁止されています。申込ボタンの直前で、総額、継続課金の有無、返品条件、追加費用を明確に表示しない設計は危険です。

4 「返金保証」は条件を明確にしなければならない

情報商材広告では、「稼げなければ全額返金」「成果が出なければ返金保証」といった表示がよく使われます。これは消費者に安心感を与える強い訴求ですが、実際の返金条件が極端に厳しい場合、有利誤認表示となるリスクがあります。

たとえば、次のような条件は問題になりやすいです。

  • 365日毎日ブログを更新した場合のみ返金
  • 事業者指定の作業をすべて実施した証拠を出した場合のみ返金
  • 返金申請期間が極端に短い
  • 返金保証と表示しながら、規約では返金不可
  • サポートに1回でも返信しなかったら返金不可
  • 追加プラン購入者だけ返金対象
  • 成果が出なかったことの証明を消費者に過度に求める
  • 返金窓口が実質的に機能していない

返金保証を表示する場合は、保証対象、保証期間、申請方法、必要資料、除外条件、返金時期、返金対象となる金額を明確にしなければなりません。広告の目立つ部分で「全額返金」と表示し、細かい規約でほとんど返金されない仕組みにしている場合、消費者を誤認させる表示になります。

また、通信販売では返品に関する事項の表示が重要であり、返品の可否、返品期間、条件、送料負担の有無を表示する必要があります。

5 消費者契約法上の取消しリスク

情報商材では、販売ページだけでなく、LINE、Zoom、電話、無料セミナー、オンライン説明会での勧誘も問題になります。

消費者契約法は、事業者の一定の行為により消費者が誤認・困惑した場合、契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消せる制度を定めています。不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知、不退去、退去妨害などが問題となります。

たとえば、次のような勧誘は取消しリスクが高いです。

  • 「必ず利益が出る」と断言する
  • 「全員が初月から黒字」と虚偽説明する
  • 「追加費用はない」と言いながら後で高額プランを勧める
  • 「このツールは独自AIで自動収益化する」と言いながら実態がない
  • 「返金可能」と言いながら条件を隠す
  • 「今日契約しないと二度と参加できない」と虚偽の限定性を示す
  • 消費者金融での借入れを指示する
  • 断っているのに長時間勧誘を続ける

広告と個別勧誘の内容は、一体として証拠化されます。LPだけを適法に整えても、LINEや電話で断定的な収益保証をしていれば、法的リスクは避けられません。

6 決済・チャージバックのリスク

情報商材トラブルでは、クレジットカード決済、決済代行会社、電子マネー、収納代行、銀行振込などが関係します。内閣府資料でも、情報商材は販売する個人、サイト業者、カード会社、海外の決済代行会社等が絡み、トラブル時の解決が困難なケースがあると指摘されています。

クレジットカード決済では、商品が届かない、購入した商品やサービスが想定と違う、カード不正利用があったなどの場合に、カード利用者がチャージバックを申し立てることがあります。チャージバックが認められれば、取引が取り消され、加盟店側は売上を失う可能性があります。

また、決済代行会社側から見ると、詐欺的商材を扱う加盟店は重大なリスクです。チャージバックが多発すれば、加盟店契約の解除、売上金の留保、アカウント停止につながります。情報商材被害の救済実務でも、クレジットカード決済や電子マネー決済の場合、決済代行業者に販売業者の情報開示を求め、決済代行業者を介して返金を求めることがあるとされています。

販売者だけでなく、広告代理店、アフィリエイトASP、決済代行会社、プラットフォーム事業者も、悪質な商材に関与していると評価されると、レピュテーションリスクや法的請求の対象となる可能性があります。少なくとも、加盟店審査、商材審査、広告審査、苦情件数の監視、チャージバック率の管理は必須です。

7 アフィリエイター・広告代理店の責任

情報商材は、販売者本人だけでなく、アフィリエイターや広告代理店を通じて拡散されることが多い分野です。

アフィリエイターが「この商材で誰でも月収100万円」「私も初月で回収できました」といった虚偽・誇大表示を行えば、消費者の誤認を招きます。広告主がその表現を指示・承認・放置していた場合、広告主自身の表示として問題になる可能性があります。

広告代理店も、「クライアントが言っただけ」「LPは制作しただけ」とはいえません。詐欺的商材であることを認識しながら、煽り広告を制作・運用し、集客に深く関与していた場合には、不法行為上の責任を問われるリスクがあります。

実務上は、次のような管理が必要です。

  • アフィリエイト用禁止表現リストを作る
  • 収益保証表現を禁止する
  • 実績表示の根拠資料を確認する
  • LPと広告クリエイティブを事前審査する
  • アフィリエイター投稿を定期監視する
  • 違反表示は即時修正・停止させる
  • 苦情・返金請求・チャージバック率を監視する
  • 契約上、法令違反時の解除・損害賠償条項を入れる

8 販売前に確認すべきチェックリスト

情報商材や副業・投資系講座を販売する前に、最低限、次の点を確認してください。

  • 「必ず」「確実」「100%」「誰でも」といった断定表現がないか
  • 月収・年収・利益実績の根拠資料があるか
  • 売上と利益を混同していないか
  • 追加費用の有無を明示しているか
  • 返金保証の条件が明確かつ実行可能か
  • 特商法表示の氏名・住所・電話番号が正確か
  • 申込最終画面に総額・返品条件・継続課金が明示されているか
  • LINE・電話勧誘でLP以上の断定表現をしていないか
  • 利用者の声や残高画像が実在・真正なものか
  • アフィリエイターが誇大広告をしていないか
  • 金融商品取引法上の登録が必要な投資助言に当たらないか
  • 苦情・返金・チャージバック対応体制があるか

「まっとうなノウハウを売っている」という認識があっても、広告表現が過激であれば、消費者からは詐欺的商材と見られます。特に、収益性を売りにする商材では、広告コピーの一語一句がリスクになります。

9 まとめ

情報商材や投資系商材の広告では、「スマホだけで月収100万円」「1日5分で誰でも稼げる」「再現性100%」「稼げなければ全額返金」といった表現は、景品表示法、特定商取引法、消費者契約法上の重大なリスクを伴います。

情報商材は、購入前に中身を確認しにくく、販売者の宣伝文句だけが判断材料になりやすいため、トラブルが起きやすい商品です。内閣府資料でも、情報商材について、購入前に内容を確認できず、宣伝文句だけが判断材料になるためトラブルが起きやすいと指摘されています。

通信販売では、販売業者名、住所、電話番号、価格、支払方法、引渡時期、返品条件などを正確に表示する必要があり、誇大広告も禁止されています。また、将来の収益について断定的判断を提供した場合、消費者契約法上の取消しや返金請求の対象となり得ます。

さらに、クレジットカード決済では、商品・サービスが想定と異なる場合などにチャージバックが問題となり、加盟店契約解除や売上留保につながる可能性があります。販売者、広告代理店、アフィリエイター、決済代行会社は、広告表現と販売スキームを事前に精査し、違法・詐欺的と評価される表示を排除する体制を整える必要があります。

【お問合せは、こちらから】

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執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

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