「お客様満足度No.1」表示の落とし穴:ランキング・受賞表示の法的要件

企業の広告で「No.1」「最高」「トップ」といった最上級表現や、ランキング、受賞歴を使用することは、商品の優位性を強調し、消費者の信頼を得るために非常に効果的です。

しかし、これらの表現は景品表示法(景表法)の優良誤認表示(第5条第1号)として、特に注意が必要な表現となります。

根拠のない「No.1」表示は、「実際よりも著しく優良である」と消費者に誤認させる不当表示とみなされ、法的な処分につながるリスクがあります。法務担当者や経営者は、この「最上級表示」の適法要件を正確に理解し、広告審査を徹底しなければなりません。

1 最上級表示(No.1、最高など)の基本的規制

景表法は、客観的な根拠なく「No.1」といった最上級表現を使用することを原則として禁止しています。

優良誤認表示とならないための要件は、以下の二つをクリアすることです。

①客観的な根拠が明確であること

「No.1」と表示するにあたり、それが客観的な調査結果に基づいていることが必須です。この調査結果は、優良誤認表示全般で求められる「合理的根拠」として、消費者庁に提出できるものでなければなりません。

②表示された優位性が事実であること

根拠となる調査結果が、表示内容の正確性を裏付けていなければなりません。例えば、「顧客満足度 No.1」と表示するのであれば、実際の調査結果において、比較対象の中で最も高い満足度を得ていることが事実でなければなりません。

2 ランキング・受賞表示で特に注意すべき「4つの明記事項」

「お客様満足度No.1」や「〇〇賞受賞」といったランキング表示が適法と認められるためには、消費者に誤認を与えないよう、以下の4つの要素を広告内で明確かつ目立つように記載する必要があります。

要素なぜ明記が必要か
1. 調査主体誰が調査を行ったのか(例:自社調査、第三者機関の〇〇リサーチ)
2. 調査機関調査がいつ行われたのか(例:2024年4月実施)
3. 調査対象(母集団)誰に対して調査を行ったのか(例:30代女性1,000名、競合他社A社・B社の利用者)
4. 定義(優位性の範囲)どのような指標でNo.1なのか(例:利用者の「使いやすさ」項目において)

3 「受賞表示」に関する注意点

著名な賞や権威ある団体からの受賞歴は、商品の信頼性を高めます。しかし、この受賞表示にも注意が必要です。

(1)事実の正確性

①賞の名称と受賞内容の正確な表示:受賞した正式名称、授与団体、受賞年を正確に表示しなければなりません。

②「最高賞」の誇張:実際は「部門賞」や「入選」であるのに、「最高賞を受賞した」と誇張して表示することは、優良誤認表示となります。

(2)主催者と利害関係

賞の主催者が、事実上、受賞商品の広告・宣伝を目的としていると判断される場合、その受賞表示の価値は客観的根拠として認められにくくなります。特に、自社や関係会社が主催・運営している賞を「権威ある賞」のように表示する場合は、その事実を明確に記載する必要があります。

4 法務・経営者が取るべき予防策

最上級表示が景表法違反とならないよう、法務部門は以下の審査体制を徹底すべきです。

①「No.1表示」の原則禁止:広告部門に対して、安易な「No.1」「最高」表示を避け、代替として具体的な優位性(例:当社比2倍の成分含有量)を謳うよう指導する。

②根拠資料の厳格な審査:No.1表示を使用する場合は、根拠となる調査機関、調査手法、母集団の規模、そして競合他社との比較対象の公正性を、法務部門が客観的に審査し、資料を厳重に保管する。

③付記の明瞭性の確保:4つの明記事項(調査主体、期間、対象、定義)が、メインの表示から容易に判別できる位置と大きさで記載されているかをチェックする。「打ち消し表示」の限界を理解し、小さな文字や見えにくい場所に記載しないようにする。

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