金融商品・投資広告で使ってはいけない表現と法的リスク

「絶対に儲かる」「元本保証」「月利20%確定」「今だけ参加すれば必ず利益が出る」――SNS広告やWeb広告では、このような投資勧誘の表現を見かけることがあります。

しかし、株式、FX、投資信託、ファンド、暗号資産、投資助言サービスなどの広告・勧誘は、金融商品取引法、資金決済法、各業界団体の自主規制、金融庁の監督指針等によって厳しく規制されています。一般の商品広告よりも、誇大表現やリスク説明不足に対する規制は格段に厳しいと考えるべきです。

投資広告は、消費者の財産に直接影響します。違法な広告を出した場合、広告主である金融商品取引業者が行政処分を受けるだけでなく、広告に関与したアフィリエイター、インフルエンサー、オンラインサロン運営者、マーケティング会社も、行為の内容によっては法的責任を問われる可能性があります。

1 金融商品広告で禁止される典型表現

金融商品取引法では、金融商品取引業者等による広告や勧誘について、虚偽表示、誇大広告、断定的判断の提供、損失補填・利益保証などが厳しく規制されています。

特に問題となるのは、次のような表現です。

  • 「絶対に儲かる」
  • 「確実に利益が出る」
  • 「必ず値上がりする」
  • 「月利20%確定」
  • 「リスクゼロ」
  • 「元本保証」
  • 「損失は当社が補填」
  • 「金融庁登録済みだから安全」
  • 「誰でも簡単に資産が倍増」
  • 「今だけ参加すれば勝率100%」

金融商品取引法上、金融商品取引業者等は、顧客に対して虚偽のことを告げる行為をしてはならず、不確実な事項について断定的判断を提供したり、確実であると誤解させるおそれのあることを告げて勧誘したりすることも禁止されています。

また、広告等において、利益の見込み、損失の負担、利益保証、手数料、業者の実績などについて、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示をすることも禁止されています。

したがって、将来の値上がりや利益を断定する表現、損失が出ないかのような表現、元本が守られるかのような表現は、基本的に使用できません。

2 「元本保証」「損失補填」は特に危険

金融商品広告で特に危険なのが、「元本保証」「損失補填」「利益保証」といった表現です。

投資商品は、預金とは異なり、原則として価格変動や元本割れのリスクを伴います。それにもかかわらず、「元本保証」「損したら補填する」「最低利回りを保証する」と表示すると、投資家にリスクのない商品であるかのような誤解を与えます。

金商法上、広告において、契約に係る損失の全部または一部の負担、利益の保証に関する事項について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示をしてはならないとされています。また、金融庁関連の資料でも、元本保証でないのに「元本保証」などと虚偽の説明をすることは、金融商品取引法で禁止されていると説明されています。

「元本確保型」「元本保証型」といった名称を使う場合でも、法的にどの範囲で、どの条件で、誰が、どの通貨建てで元本を確保するのかを明確にしなければ、投資家を誤認させる表示になり得ます。投資信託等の広告においても、単に「元本確保型」と表示するのではなく、元本確保の定義や条件を併記し、顧客に元本の安全性を誤認させないようにする必要があるとされています。

3 広告に必ず表示すべき事項

金融商品広告では、魅力的な利回りや運用実績だけを強調してはいけません。リスク、手数料、登録情報など、投資判断に必要な情報を明瞭に表示する必要があります。

金融商品取引業者等が広告を行う場合、商号・名称、金融商品取引業者等である旨、登録番号、顧客が支払う手数料等、元本損失・元本超過損が生じるおそれがある旨など、法令上求められる事項を表示する必要があります。屋外広告物等においても、商号、登録番号、元本損失・元本超過損のおそれ、契約締結前交付書面等を十分に読むべき旨などの表示が求められます。

特に重要なのは、リスク表示を目立つ形で行うことです。リスクや手数料を極端に小さな文字で、画面の最下部に薄い色で表示するような方法は、実質的に分かりやすい表示とはいえません。広告等では、顧客が商品・サービスの内容を正確に理解するために必要な事項を明瞭かつ正確に表示する必要があり、重要事項を他の記載事項と比べて不当に目立ちにくくすることは問題になります。

少なくとも、広告には次の情報を分かりやすく表示すべきです。

  • 金融商品取引業者等の商号・名称
  • 登録番号
  • 加入協会
  • 投資対象・商品内容
  • 元本割れリスク
  • 価格変動リスク
  • 為替変動リスク
  • レバレッジ取引の場合の元本超過損リスク
  • 手数料・スプレッド・成功報酬等
  • 過去実績が将来成果を保証しない旨
  • 契約締結前交付書面等を確認すべき旨

4 「金融庁登録済み」を安全性の根拠にしてはいけない

金融商品取引業者として登録されていること自体は、広告に表示すべき重要情報です。しかし、「金融庁登録済みだから安全」「国が認めた投資商品」「金融庁公認の案件」などと表現することは危険です。

財務局も、金融商品取引法上の登録や届出を行っている業者について、金融庁・財務局がその業者の信用力等を保証するものではないと注意喚起しています。したがって、登録番号を表示することと、国が収益性や安全性を保証しているかのように表示することは全く別です。

「金融庁登録業者が扱う商品です」と表示する場合でも、その意味は、あくまで登録制度上の登録を受けているという事実にとどまります。投資元本の安全性、利回り、信用力、将来の成果を金融庁が保証しているわけではありません。

5 暗号資産広告での注意点

暗号資産に関する広告では、金融商品広告以上に、価格変動リスクや無登録業者の問題に注意が必要です。

暗号資産は、日本円や米ドルのような法定通貨ではなく、価格が大きく変動する可能性があります。そのため、暗号資産交換業者の広告では、暗号資産が本邦通貨または外国通貨ではないこと、価格変動により損失が生じるおそれがあることなどを明確に表示する必要があります。

「急騰中」「今買わないと乗り遅れる」「必ず上がる」「上場確定」「元本保証型暗号資産」などの表現は、投資家の射幸心を過度にあおり、価格上昇を確実視させる危険があります。暗号資産は値動きが大きいからこそ、リスク情報を利益訴求と同程度に明確に示す必要があります。

また、暗号資産交換業の登録を受けていない者が、国内居住者に向けて交換サービスや投資商品を広告・勧誘する場合、無登録営業として問題になり得ます。暗号資産関連の広告では、広告主が登録業者か、海外業者の場合に日本向け勧誘が適法か、アフィリエイト先が無登録業者ではないかを必ず確認すべきです。

6 インフルエンサー・アフィリエイターの責任

近年は、証券会社や暗号資産交換業者だけでなく、インフルエンサー、YouTuber、アフィリエイター、オンラインサロン運営者が投資案件を紹介するケースが増えています。

単に一般的な投資教育コンテンツを発信するだけであれば、直ちに登録が必要とは限りません。しかし、有償で、特定の銘柄や金融商品について、売買のタイミングや投資判断を具体的に助言する場合には、投資助言・代理業の登録が必要になる可能性があります。

無登録で金融商品取引業を行った場合、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、またはその併科の対象となり、法人には5億円以下の罰金が科されると説明されています。また、無登録で金融商品取引業を行っている者については、その名称が公表される可能性もあります。

財務局も、SNSをきっかけとする無登録業者からの勧誘トラブルが多発しているとして、無登録業者からの勧誘に応じないよう注意喚起しています。

したがって、インフルエンサーが次のような行為を行う場合は、特に慎重な検討が必要です。

  • 有料オンラインサロンで個別銘柄を推奨する
  • 「今買うべき銘柄」を有料配信する
  • 特定のFX・暗号資産取引を継続的に推奨する
  • 成功報酬型で投資案件に誘導する
  • 無登録業者の投資商品を紹介する
  • 「この案件は元本保証」などと説明する
  • 損失が出た場合の補填を約束する
  • 登録業者の名義を借りて勧誘する

広告主側も、「インフルエンサーが勝手に言った」とは簡単に逃れられません。金融商品取引業者が広告表現の作成、投稿内容の承認、報酬支払い、リンク誘導、訴求内容の指示に関与している場合、広告主側の広告規制違反として問題になり得ます。

7 アフィリエイト広告の管理

金融商品のアフィリエイト広告では、広告主が直接作成したLPだけでなく、アフィリエイターが作成する比較サイト、ランキングサイト、レビュー記事、SNS投稿も問題になります。

たとえば、アフィリエイターが次のような表現を使っている場合、広告主側も管理体制を問われる可能性があります。

  • 「この証券会社なら絶対勝てる」
  • 「初心者でも月利20%」
  • 「元本保証の投資案件」
  • 「損しないFX自動売買」
  • 「金融庁公認の安全な投資」
  • 「リスクなしで不労所得」
  • 「今登録しないと損」

金融商品広告では、広告主が、広告代理店やアフィリエイター任せにせず、事前審査、禁止表現リスト、投稿後モニタリング、違反時の修正・削除要請、契約上の遵守義務を整えることが重要です。

8 広告制作時のチェックポイント

金融商品・投資関連の広告を出す前に、少なくとも次の点を確認してください。

  • 将来の利益を断定していないか
  • 「元本保証」「損失補填」と誤認される表現がないか
  • 過去実績を将来成果の保証のように見せていないか
  • リスク表示が利益訴求と比べて不当に目立たなくなっていないか
  • 手数料、スプレッド、成功報酬等を明確に表示しているか
  • 登録番号、商号、加入協会を正確に表示しているか
  • 金融庁・財務局が商品を保証しているような表現がないか
  • 無登録業者への誘導になっていないか
  • インフルエンサーの投稿内容を事前確認しているか
  • アフィリエイトサイトの表示を継続的に監視しているか
  • 投資助言・代理業登録が必要なサービスになっていないか
  • 暗号資産の場合、価格変動リスクと法定通貨でない旨を明示しているか

9 まとめ

金融商品・投資広告では、「絶対に儲かる」「確実に利益が出る」「元本保証」「損失補填」といった表現は極めて危険です。金融商品取引法では、虚偽告知、不確実な事項についての断定的判断の提供、確実であると誤解させる勧誘、重要事項について誤解を生じさせる表示などが禁止されています。

また、広告では、登録番号、商号、手数料、元本損失・元本超過損のおそれなど、投資判断に必要な情報を明瞭に表示する必要があります。リスクや手数料を小さく目立たない形で表示し、利益だけを強調する広告は、金融庁の監督上も問題となり得ます。

さらに、SNSやオンラインサロンで投資案件を紹介する個人、インフルエンサー、アフィリエイターも、具体的な投資助言や無登録業者への勧誘を行えば、無登録営業や不法行為責任を問われる可能性があります。無登録で金融商品取引業を行った場合には、刑事罰や業務停止命令等の対象となり得ます。

金融商品の広告は「売れる表現」よりも「誤認させない表現」が優先されます。広告を出す前に、金融法務に詳しい専門家によるリーガルチェックを受け、広告主、代理店、アフィリエイター、インフルエンサーを含めた管理体制を整えることが重要です。

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執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

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