牛肉の性質に関する広告表示の虚偽記載について

1 牛肉の性質に関する広告表示の虚偽記載について

牛肉の性質に関する広告表示に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年3月4日付措置命令)。

事案の概要としては、飲食店が、ウェブサイトやメニュー上等で、提供する料理の写真を掲載するとともに、「霜降サーロインステーキ」等という内容の広告表示を行っていました。

このような記載がある場合、一般消費者としては、提供される料理は、霜降サーロインステーキであると認識するところです。

しかしながら、実際には、当該飲食店においては、提供する料理には、牛脂を注入した加工肉を提供していたことが判明しました。

その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

本ケースでは、提供する料理の原材料の性質そのものが、広告表示と実際とでは異なるものであり、一般消費者としては、肉の性質を適切に把握していれば、一般消費者の消費者行動は異なるものとなった可能性は十分と考えられるところであり、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であったことに異論はないでしょう。

なお、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。

他の事業者が同様の行為を行っていたとしても、それは他の事業者も問題があるというだけであり、自社の広告表示が適切であったことにはなりません。

2 商品の広告表示の正確性には十分な注意が必要です

インターネットやSNSは、良い評判が広まれば、企業の売上を大きく伸ばすことに結びつきますが、その反対も同様であり、一度悪い評判がインターネット上で広まってしまうと、企業の評判を挽回することには非常に大きな労力が必要となるほか、場合によっては挽回が不可能ということも珍しい話ではありません。

特に、食料品等の、消費者が摂取するものについては、消費者心理としては非常に慎重に対応するということが通常であり、飲食店側が意図的に虚偽記載を行っていた場合はもちろんのこと、意図的に虚偽記載を行っていたと一般消費者に認識されてもやむを得ないケースでは、飲食店への悪い評判を挽回することはほぼ不可能と考えた方がよいとすらいえるところです。

円滑なビジネス運営を行うためには、企業への信頼を維持するために広告表示を適切に行う点に日常的に注意を払うとともに、第三者の視点を加味する意味でも広告表示に対するリーガルチェックを適切に実施していただくことを強くお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関する定期的なリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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