旅館が提供する温泉に関する虚偽記載について

1 旅館が提供する温泉に関する虚偽記載について

旅館が提供する温泉に関する虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成26年10月23日付措置命令)。

事案の概要としては、ある旅館が、ウェブサイト上等において「当館の貸切露天風呂は 1300m の地下より湧き出る良質な温泉」等という内容の広告表示をしていました。

このような記載がある場合、一般消費者としては、源泉が使用されているものと考えるところです。

しかしながら、実際には、貸切露天風呂に設置された浴槽の温水は、温泉法に規定する温泉ではなく、水道水を加熱しただけの水であることが判明しました。

その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

温泉に関しては、その効能が重要ですが、そもそも、温泉ではなく水道水を加熱したものを温泉として提供されているということは消費者にとっては想定しておらず、温泉ではないと分かっている場合には、消費者は利用しない可能性が非常に高いことは明白です。

したがって、本件広告表示によって実際の成分がわかっていれば一般消費者の消費者行動は異なるものと考えられますので、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であったことに異論はないでしょう。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、そのような慣行は一般消費者には関係ありません。

「皆間違っているから自分だけ指摘されるのはおかしい」という抗弁は一切効果がありません。

いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。

2 商品の広告表示の正確性は非常に重要です

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、インターネット上の口コミ等には最大限注意する必要があります。

特にインターネット上の集客に力を入れている場合には、インターネット上の口コミは直ちに売上に大きな影響を及ぼすと考えるべきです。

そもそも、ウェブサイト上の広告表示であれば、悪影響が及ぼす影響はさらに大きなものとなるでしょう。

このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持するためには、広告表示に対するリーガルチェックを適切に実施していただくことを強くお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関する定期的なリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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