商品の購入者に対して、次回の買い物の際に当該店舗において使用することができるクーポン券をプレゼントする企画を考えていますが、このクーポン券について、何らかの景表法上の上限規制等は存在するのでしょうか、という質問をいただくことがございます。
本日は、クーポン券を利用した企画についてご紹介いたします。
1 クーポン券のプレゼント企画について
商品の購入者に対してクーポン券を提供していくことは、偶然性や優劣で選ぶことには該当しませんので、基本的には懸賞には該当しません。
そのため、クーポン券の提供は、総付景品の提供に該当するとして、総付景品を前提とした景表法上の上限規制が存在する、という誤解をされている方もいらっしゃいます。
クーポン券その他割引を約する証票によって商品等の対価を減額することは、それが自己との取引に用いられ、取引通念上妥当と認められる基準に従っているものである場合には、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」に該当すると考えらております。
そのため、当該クーポン券は、景表法上の景品には該当しません。
また、商品等の購入時に対価を減額する場合に加えて、次回以降に商品・サービスを購入する際に対価を減額する場合も含みます。
なお、おまけの提供等の場合とは異なり、同一の商品に対するクーポン券だけでなく、別の種類の商品についてのクーポン券を提供する場合も含む点には注意が必要です。
2 懸賞企画や総付景品の提供を実施する前に一度弁護士にご相談ください
懸賞企画や総付景品の提供は、非常に多くの事業者によって実施されています。
実店舗、ECサイト等を問わず幅広く用いられている手法といえます。
また、クーポン券を提供するキャンペーンも近年非常に多く目にする企画であるものといえます。
もっとも、価額の算定方法について適切な方法を理解しないまま実施されてしまっているケースも珍しくはありません。昨今はインターネットの普及によって、違法な行為が発覚した場合には瞬く間に拡散してしまい(場合によっては、いわゆる炎上といった状況にもなりかねません。)ますので、十分な注意が必要です。
SNS等の利用状況を踏まえますと、このような悪い噂や評判が一度広まってしまうと、回復させることは至難の業といわざるを得ません。
このようなリスクを避けるためにも、懸賞等に関する規制に関して少しでもご心配な点等ございましたら、予防法務の一環としてまずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。