「競合他社のあの広告がバズっているから、ウチも似たようなテイストで作ろう」、現場において、優れた作品を参考にすること(リファレンス)は一般的な手法です。しかし、「参考」と「模倣(パクリ)」の境界線は非常に曖昧であり、一歩間違えれば法的責任を問われるだけでなく、SNSで「パクリ企業」として炎上し、ブランドイメージを失墜させることになりかねません。
本記事では、他社の広告をオマージュやパロディとして制作する際の法的リスクについて、著作権法および不正競争防止法の観点から解説します。
1 「アイデア」は著作権で保護されない
著作権法の原則として、保護されるのは具体的な「表現」であり、その根底にある「アイデア」や「作風」は保護されません。例えば、「青い背景で、右側に商品を置き、左側に白文字でキャッチコピーを入れる」というレイアウト(構図)や、「擬人化した猫が商品の説明をする」というアイデア自体には、原則として著作権はありません。したがって、単に作風やコンセプトが似ているだけでは、直ちに著作権侵害とはなりません。
しかし、具体的なイラストのタッチ、配色、キャラクターの造形、文章の言い回しなどが酷似している場合は、「翻案権侵害」や「複製権侵害」となる可能性があります。裁判所は「本質的な特徴を直接感得できるか否か(似ていると感じるか)」で判断しますが、最近はネットユーザーによる検証(画像の重ね合わせ等)が厳しく、法的にグレーであっても社会的制裁を受けるリスクが高まっています。
2 不正競争防止法による規制
著作権法でシロであっても、「不正競争防止法」でアウトになるケースがあります。 同法第2条1項1号では、他人の周知な商品等表示(ブランドロゴやパッケージデザインなど)と類似したものを使用し、消費者に「混同」を生じさせる行為を禁止しています。例えば、競合他社の有名な広告シリーズとそっくりな雰囲気の広告を出し、消費者に「あ、あの有名企業の関連商品かな?」と誤解させて購入させる行為は、他人の信用への「タダ乗り(フリーライド)」として違法となります。また、他社の著名な表示を冒用すること自体を禁止する規定(同項2号)もあり、パロディだからといって無断で他社の有名ブランドロゴをもじったり、キャラクターを借用したりすることは許されません。
「バレなければいい」という考えは、デジタルタトゥーとして永遠に残るリスクと隣り合わせです。迷った際は、公開前に弁護士によるリーガルチェックを受けることを強くお勧めします。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
