Web広告やSNSの創作物を作成する際、インターネット上の画像やイラストを使用することは日常茶飯事です。しかし、「Google画像検索で出てきたから」、「フリー素材サイトにあったから」という安易な理由で画像を使用し、後日、著作権者から数十万円〜数百万円の損害賠償請求を受けるケースが後を絶ちません。
特に企業が発信する広告は「商用利用」にあたるため、個人のブログ利用などとは比較にならないほど厳格な責任が問われることを覚悟する必要があります。本記事では、広告制作現場で起こりがちな著作権トラブルと、企業が守るべきリスク管理についてみていきます。
このページの目次
1 「フリー素材」=「何でも自由」ではない
最も多いトラブルの一つが、「フリー素材」サイトの規約違反です。
「ロイヤリティフリー(RF)」という言葉は、「著作権が存在しない」という意味でも、「無料で無制限に使える」という意味でもありません。「利用規約の範囲内であれば、都度の許諾なしで使ってよい」という意味に過ぎないのです。
例えば、多くのフリー素材サイトには以下のような禁止事項(利用規約)が設けられています。
①商用利用の制限
「個人利用は無料だが、商用利用は有料」あるいは「商用利用は不可」というケース
②加工の禁止
画像のトリミング、色調補正、文字乗せなどの改変を禁止しているケース
③モデルリリースの欠如
風景写真はOKでも、写り込んでいる人物の肖像権使用許諾(モデルリリース)が取れていないケース
④点数制限
「1つの制作物につき○点まで」という制限がある場合
規約を読まずに「フリーだから」と大量にダウンロードして広告バナーに使用した結果、サイト運営者から高額な違約金を請求される事例も発生しています。特に海外サイトの場合、英語の規約を読み落とすリスクも高まるため、十分な注意が必要です。
2 「引用」は広告ではほぼ認められない
著作権法には、他人の著作物を無断で使用できる例外として「引用」という規定があります。しかし、広告において「引用」が成立するハードルは極めて高いのが現実です。引用が認められるには、「報道、批評、研究などの正当な目的」が必要であり、かつ「自分の文章が主、引用部分が従」という主従関係が必要です。単に「イメージ画像として使いたい」「商品の魅力を高めたい」という営利目的(広告目的)の場合、引用の要件を満たすことはまずありません。「出典元を明記すれば大丈夫」というのも大きな誤解です。出典を書こうが書くまいが、無断使用は著作権侵害となります。
3 制作会社への丸投げは免罪符にならない
「広告代理店や制作会社に作ってもらったバナーだから、当社は悪くない」と考える広告主の方もいますが、法的には通用しません。著作権侵害による差止請求や損害賠償請求は、実際にその画像を使用している「広告主」に対しても行われます。もちろん、広告主から制作会社へ求償(肩代わりした賠償金の請求)することは可能ですが、一度失った社会的信用や、広告停止による機会損失は取り戻せません。
「バレなければいい」という時代は終わりました。現在は画像検索技術の進化により、無断使用は瞬時に発覚します。クリーンなクリエイティブ制作体制を構築することが、ブランドを守る第一歩です。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
