近年、ESG経営の観点から、サプライチェーン上の「人権侵害(強制労働)」に対する視線が世界的に厳しくなっています。
米国では「ウイグル強制労働防止法」により、対象地域からの輸入が原則禁止されるなど、強力な措置が取られています。日本でも、政府がガイドラインを策定し、企業に対する人権尊重の取り組み(人権デューデリジェンス)を求めています。
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1 輸入差止の新たな理由
これまで日本の税関で止められる理由の多くは「偽ブランド品(知財侵害)」でしたが、今後は「強制労働によって作られた疑いがある製品」も輸入差止の対象となる可能性があります。国際的なNGOからの告発や、海外当局からの情報提供に基づき、ある日突然、自社の輸入貨物が税関でストップするリスクが現実味を帯びてきています。
2 企業に求められる対応
輸入業者は、「自社の商品が、誰によって、どのような環境で作られたか」を把握する責任があります。
①サプライヤーに対する是正条項を盛り込んだ契約書の締結
②定期的な監査の実施
③トレーサビリティ(追跡可能性)の確保
これらを怠り、強制労働への関与が疑われた場合、商品が入ってこないだけでなく、「人権侵害に加担する企業」として国際的なレピュテーションリスクに晒されます。
3 弁護士によるCSR法務
人権デューデリジェンス(人権DD)は、もはや単なる企業の社会的責任を謳う道徳的なスローガンにとどまるものではありません。今日、それは企業の持続可能性を左右する重大な「法的リスク管理(コンプライアンス)」の中核的な課題として位置づけられています。欧州を中心とした法制化の動きや、日本政府によるガイドラインの策定により、自社のみならずサプライチェーン全体における強制労働や児童労働などの人権侵害を特定し、その予防・軽減を図ることは、現代の貿易企業にとって避けては通れない法的義務となりつつあります。
当事務所では、こうした国際的な基準に準拠した「人権方針・調達方針」の策定支援から、実効性のあるサプライヤー向け契約書のリーガルチェック、さらには万が一の事態で深刻な風評被害やボイコットが発生した際のリスクコミュニケーション対応まで、一貫した法務サポートを提供いたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。

