リベンジポルノと画像の不正流出への法的対応

恋人やパートナー間で共有されたプライベートな画像や動画が、別れた後に無断でインターネット上に公開される「リベンジポルノ」被害が後を絶ちません。このような行為は、個人の尊厳を深く傷つけ、重大な法的責任を伴います。本記事では、リベンジポルノと画像不正流出に対する法的保護と実務的な対応策を解説します。

1 リベンジポルノに関する法律

平成26年に施行された「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)」により、性的な画像・動画の無断提供は刑罰の対象となりました。

具体的には、

①性的な画像・動画を、本人の同意なく第三者に提供・公表した者は、3年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます(同法3条)。

②提供する意図が「公然性を有するもの」であれば、SNSや動画サイトへのアップロードも処罰対象となります。

この法律により、元交際相手による復讐目的の投稿は、明確に違法行為として位置付けられました。

2 民事上の責任

無断で性的画像を公開された場合、民法上の不法行為(民法709条)として、加害者に対して慰謝料等の損害賠償請求が可能です。精神的苦痛が大きいため、慰謝料額も数十万円から数百万円に及ぶ例が見られます。

さらに、画像の削除請求や拡散の差止めを求める仮処分も活用されます。

3 裁判例:元交際相手による画像流出と損害賠償命令

ある裁判例では、交際中に撮影された性的画像を、元交際相手がSNSに投稿した事案において、裁判所は「重大なプライバシー侵害であり人格権の侵害」と認定し、300万円の慰謝料を命じました。

この裁判例は、交際中の合意の有無にかかわらず、公表の時点で本人の同意がなければ違法とされることを明確に示したものです。

4 被害に遭った場合の対応

①証拠保全

問題となる投稿・画像のURL、スクリーンショット、投稿日時などを確保してください。証拠が削除される前に保存することが重要です。

②運営会社への削除申請

SNSや動画投稿サイトには削除申請の仕組みがあります。ガイドラインに沿って削除を求めましょう。

③仮処分や刑事告訴の検討

拡散を防ぐため、迅速に仮処分を申し立てることが有効です。同時に、警察への告訴も検討してください。

④損害賠償請求と発信者特定

匿名で投稿されている場合は、発信者情報開示請求を通じて加害者を特定し、損害賠償請求に進むことが可能です。

リベンジポルノ被害は、精神的にも非常に大きなダメージを伴います。しかし、法律の整備が進み、被害者の救済制度は充実してきています。被害に気づいた時点で一人で抱え込まず、速やかに専門家に相談することが、回復への第一歩となります。

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