Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category
YouTubeのコメント・動画による名誉毀損
YouTubeなどの動画プラットフォームにおいて、動画そのものの内容による権利侵害や、コメント欄での誹謗中傷トラブルが増加しています。
YouTuberやVtuberへの殺害予告や暴言が社会問題化していますが、これらも当然、法的措置の対象です。
1 「動画内」での誹謗中傷
「●●という配信者は詐欺師だ」などと発言している動画がアップされた場合、名誉毀損として動画の削除や投稿者の特定を求めることができます。
動画の場合、テキストと違って検索に引っかかりにくいですが、「動画のどの部分(何分何秒〜何分何秒)で」「どのような発言があったか」を文字起こし(反訳)して証拠化する必要があります。
この作業は手間がかかりますが、裁判所に権利侵害を認めてもらうためには不可欠なプロセスです。
2 コメント欄・チャット欄(スパチャ)での暴言
動画配信中に行われる「ライブチャット」や、動画下の「コメント欄」での誹謗中傷も、掲示板と同様に開示請求の対象です。
特に「スーパーチャット(投げ銭)」での中傷コメントは、支払い情報が紐づいているため、Googleアカウントの情報(Google Payの登録情報など)から比較的スムーズに身元判明に至るケースもあります。
3 Vtuber(バーチャルYouTuber)への誹謗中傷
「中の人(キャラクターを演じている人物)」に対する誹謗中傷なのか、「キャラクター(アバター)」に対するものなのか、という議論がありましたが、近年の裁判例ではVtuberに対する誹謗中傷も「中の人」への名誉毀損として認められる傾向にあります。
「絵に向かって言っただけ」という言い訳は通用しなくなってきていますので、くれぐれもコメントには注意が必要です。
4 著作権侵害を理由とした特定も
誹謗中傷とは少し異なりますが、自分の動画を勝手に転載(切り抜き動画など)されている場合、著作権侵害を理由として発信者情報開示請求を行うことも可能です。 悪質な無断転載チャンネルに対しては、アカウント停止(BAN)だけでなく、損害賠償請求も視野に入れた対応が可能です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
爆サイ・5ちゃんねる(2ちゃんねる)の書き込み削除依頼と特定
匿名掲示板の代表格である「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」や、ローカル情報に特化した「爆サイ(爆サイ.com)」。
これらの掲示板は匿名性が高く、過激な書き込みが行われやすい場所です。それぞれの掲示板には「独自のルール」と「削除の作法」があります。
1 「爆サイ」は地域密着型のトラブルが多い
爆サイは地域別・ジャンル別の掲示板であり、特にキャバクラ・風俗などの「夜のお店」、建設業、地域の中小企業、特定の個人に関するスレッドが多く立っています。
ローカルなコミュニティであるため、書き込んでいるのが「職場の同僚」「近所の知人」「元交際相手」である可能性が高く、リアルの人間関係に直結する深刻な被害になりがちです。
2 爆サイの削除依頼
爆サイには専用の「削除依頼フォーム」があります。
弁護士が法的な理由を明記して依頼すれば、比較的スムーズに(数日〜1週間程度で)削除に応じてもらえる傾向にあります。
ただし、削除されても「誰が書いたか」までは教えてくれません。犯人を特定したい場合は、削除とは別に開示請求の手続きが必要です。
3 「5ちゃんねる」の複雑なシステム
5ちゃんねるは、巨大な掲示板群であり、運営体制やサーバーの場所が複雑です。
メールでの削除依頼に対応してくれる場合もありますが、基本的には裁判所を通じた「仮処分」手続きが必要になるケースが多いです。
また、5ちゃんねるには「コピーサイト(ミラーサイト)」が無数に存在します。大元の5ちゃんねるの投稿を消しても、「2ちゃんまとめ」などのコピーサイトに記事が残っていれば、検索結果には表示され続けます。
被害を完全に消し去るには、これらコピーサイトに対しても個別に削除請求を行わなければならないという「イタチごっこ」になりがちです。
4 過去ログ(ログ速など)の問題
掲示板の書き込みが流れて見えなくなっても、「過去ログ保存サイト」にデータが残っている場合があります。 「昔の書き込みだからバレないだろう」と思っていても、こうしたログサイトの記録から開示請求が可能な場合もあります(ただし、通信ログの保存期間の壁はあります)。
5 掲示板被害は「放置」が一番危険
掲示板の書き込みは、面白がって拡散されたり、まとめサイトに転載されたりすることで、半永久的にネット上に残り続けるリスク(デジタルタトゥー)があります。
「そのうち沈静化するだろう」と放置していると、検索エンジンの上位に悪口が表示されるようになり、就職や結婚、ビジネスに悪影響を及ぼします。
掲示板ごとの特性を熟知した弁護士であれば、削除から特定まで、最短ルートでの解決策を提案できます。

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Instagramのストーリー・DMでの中傷被害
「映え」を意識した写真共有アプリとして人気のInstagram(インスタグラム)ですが、近年は文字による誹謗中傷の温床にもなっています。
特に問題なのが、「24時間で消えるストーリーズ」と「外部から見えないDM(ダイレクトメッセージ)」での被害です。
証拠が残りにくいインスタグラムでのトラブルに対し、どのように対処すればよいのでしょうか。
1 ストーリーズ被害の最大の問題点
ストーリーズへの投稿は、24時間経過すると自動的にフォロワーから見えなくなります(アーカイブには残りますが、被害者は見られません)。 誹謗中傷の書き込みを見つけたら、「後で保存しよう」は厳禁です。
開示請求を行うためには、「その投稿が存在した事実」と「固有のURL」が必要です。
ストーリーズが表示されている間に、以下の情報を確実に保存してください。
①投稿内容のスクリーンショット(静止画)
②画面録画(動画):アカウント名、投稿日時、内容、タップして前後の遷移がわかるように録画するのがベストです。
③URLのコピー:ストーリーズの画面右上メニューから「リンクをコピー」で取得できます。これも忘れずに行ってください。
2 DM(ダイレクトメッセージ)での誹謗中傷
「DMで死ねと送られてきた」、「卑猥な画像を送られた」
DMは1対1の通信(密室)であるため、「公然性」の要件を満たさず、名誉毀損罪や侮辱罪が成立しにくいという特徴があります。
しかし、だからといって泣き寝入りする必要はありません。内容が脅迫(「殺すぞ」など)であれば脅迫罪になりますし、執拗につきまとう行為であればストーカー規制法の対象になる可能性があります。また、民事上の不法行為として慰謝料請求(人格権侵害)が認められるケースもあります。
3 「なりすましアカウント」への対応
インスタグラムで多いのが、自分の写真やプロフィールを勝手に使った「なりすましアカウント」の被害です。 勝手に自分のふりをして知人にDMを送ったり、変な投稿をされたりすると、社会的信用に関わります。
これは肖像権侵害やプライバシー権侵害、場合によっては名誉毀損に該当します。なりすまし犯を特定するための開示請求も可能です。運営への通報で消えない場合は、弁護士にご相談ください。
4 メタ社(Meta)への開示請求
Instagramの運営元は、Facebookと同じMeta社(米国)です。 X社と同様、海外法人に対する手続きが必要になりますが、日本国内での開示請求手続きのルートは確立されています。「海外アプリだから無理」と諦めず、証拠が消える前に専門家へ相談することが解決への近道です。

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Googleマップの悪質な口コミ(レビュー)削除と投稿者特定-店舗経営者が守るべき権利
飲食店、クリニック、美容院などの店舗ビジネスにおいて、Googleマップの「クチコミ」は集客を左右する生命線です。
しかし、その影響力を悪用し、事実無根の低評価や悪質なコメントを書き込まれる「口コミ被害」が後を絶ちません。
「星1つを付けられたせいで客足が減った」、「ライバル店からの嫌がらせではないか?」 経営者を悩ませるGoogle口コミへの法的対応について解説します。
1 Googleへの削除申請(報告)
まず最初に行うべきは、Googleに対する「不適切なコンテンツの報告」です。Googleには独自のポリシーがあり、以下のような投稿は削除対象となります。
①虚偽のコンテンツ:実際には店を利用していないのに書かれたもの。
②なりすまし:競合他社による投稿など。
③ハラスメント、ヘイトスピーチ: 従業員個人への攻撃など。
しかし、Googleは「表現の自由」や「ユーザーの知る権利」を重視するため、単に「店主の態度が気に入らなかった」、「味が好みではなかった」といった主観的な低評価は、削除に応じないケースが多いのが現状です。
2 法的手段による削除と特定
Googleへの報告で消えなかった場合、裁判所を通じて「削除仮処分」や「発信者情報開示請求」を行います。
ここで重要なのは、「権利侵害(名誉毀損など)が成立しているか」です。
「マズい」「対応が悪い」といった感想レベルでは違法性を問うのは難しいですが、「ゴキブリが入っていた」「ぼったくりバーだ」といった嘘の事実(虚偽の事実摘示)が含まれている場合は、法的に戦える可能性が高くなります。
3 「星評価のみ(コメントなし)」は対応できる?
最近増えているのが、コメントを書かずに「星1」だけをつけるケースです。 結論から言うと、星評価のみの投稿を削除・特定することは極めて困難です。
なぜなら、星1つという評価はあくまで「個人の感想・主観」の範疇であり、具体的な事実が書かれていないため、名誉毀損の要件である「事実の摘示」に当たらないと判断されることがほとんどだからです。 悔しいですが、現状の法制度では対応に限界がある領域です。
4 経営者がやってはいけないNG行動
怒りに任せて、口コミの返信欄で「お前はあの時の客だろ!」「訴えてやる!」などと攻撃的な反論をすることは避けましょう。
その様子を見た他の閲覧者が「この店は怖い」と感じ、かえってお店の評判を落とす「炎上」に繋がります。 悪質な口コミに対しては、冷静かつ事務的に対応するか、弁護士を通じて粛々と法的措置をとるのが、お店のブランドを守る最善の策です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
「死ね」「ブス」はアウト。ネット上の暴言が法的責任を問われるライン
ネット上の喧嘩や炎上でよく見かける、「死ね」「消えろ」「ブス」「キモい」といった単純な暴言。言われた方は深く傷つきますが、こうした短い言葉だけで法律上の責任を問うことはできるのでしょうか?
結論から言うと、「言葉単体」での判断は難しく、前後の文脈や回数、執拗さによって「アウト(違法)」かどうかが決まります。
1 「受忍限度」という考え方
裁判所が違法性を判断する際、「受忍限度」という基準を使います。
これは「社会生活を送る上で、我慢すべき限界」のことです。ネット上の多少の言い争いは「お互い様」とされることもありますが、この受忍限度を超えた攻撃は違法となり得ます。
2 「死ね」「殺す」などの生命に関わる言葉
「死ね」という言葉は、単発であれば侮辱罪にとどまるケースが多いですが、執拗に繰り返されたり、精神的に追い詰められたりした場合は違法性が認められやすくなります。
さらに進んで「殺すぞ」「家に行って火をつけるぞ」といった具体的な危害の告知が含まれる場合は、「脅迫罪」が成立する可能性があります。これは名誉毀損や侮辱よりも重い罪であり、警察が緊急で動くケースもあります。
3 「ブス」「デブ」などの容姿に関わる言葉
容姿に対する誹謗中傷は、具体的な事実の摘示ではないため、主に「侮辱(名誉感情の侵害)」の問題となります。 一回言われただけでは法的措置が難しい場合もありますが、以下のようなケースでは違法と判断される可能性が高まります。
①執拗な繰り返し:何度も粘着質に投稿されている。
②拡散性:多くの人が見る掲示板やSNSで、タグ付けをして拡散させている。
③職業への影響:アイドルやモデルなど、容姿が業務に直結する人の場合、営業妨害として捉えられることもあります。
4 実際の裁判例の傾向
近年、ネット上の誹謗中傷に対する司法の判断は厳しくなっています。かつては「ネットは便所の落書きだから仕方ない」と軽視される風潮もありましたが、現在は「匿名であっても人格攻撃は許されない」という判断が主流です。
「バカ」の一言でも、それが数百回書き込まれれば、平穏な生活を害するとして不法行為と認定されるケースは十分にあります。
5 一人で悩まず、証拠を持って相談を
「これくらいの悪口で相談していいのかな?」と迷う必要はありません。 「死ね」「キモい」といった言葉の羅列であっても、それがあなたに恐怖や苦痛を与えているなら、それは立派な権利侵害です。
発信者情報開示請求を行うかどうかは、費用の対効果も含めて慎重に検討する必要がありますが、まずは専門家の意見を聞くことが解決への第一歩です。相手の投稿が消される前に、URLとスクリーンショットを保存してご相談ください。

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ネットの書き込みは犯罪になる?刑事告訴(警察への相談)と民事訴訟の違い
ネットトラブルの被害に遭った際、「相手を訴えたい」という言葉をよく耳にします。しかし、この「訴える」には、大きく分けて2つの意味が含まれていることをご存知でしょうか。
それは「刑事(けいじ)」の手続きと「民事(みんじ)」の手続きです。この2つは目的も手続きも全く別物です。 ここを混同していると、解決までの道のりで思わぬ壁にぶつかることがあります。
1 刑事手続:相手に「罰」を与える
刑事手続きの目的は、国家が加害者に対して刑罰(懲役、罰金、科料など)を与えることです。被害者が警察署に「告訴状」や「被害届」を提出することから始まります。
①対象となる罪
名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪など。
②メリット
相手に「犯罪者」としての責任を負わせることができ、再犯防止の強力な抑止力になります。
③注意点
警察が動いて犯人を逮捕・起訴してくれても、被害者にお金(慰謝料)が入ってくるわけではありません。罰金刑になっても、そのお金は国庫に入ります。
また、警察は「民事不介入」の原則があるため、単なる悪口のレベルや、犯罪構成要件を満たしているか微妙な事案では、なかなか動いてくれないこともあります。
2 民事手続き:相手から「賠償」を得る
民事手続きの目的は、被害者の損害を回復することです。具体的には、書き込みの削除や、慰謝料(損害賠償金)の支払いを求めます。 弁護士に依頼して行う「発信者情報開示請求」は、主にこの民事手続きの準備段階にあたります。
①できること
投稿の削除、投稿者の特定、慰謝料請求、謝罪広告の掲載請求など。
②メリット
金銭的な被害回復ができ、調査費用(弁護士費用)の一部も相手に請求できる場合があります。
③注意点
相手にお金がない場合、回収できないリスクがあります。また、民事で勝訴しても、相手に「前科」がつくわけではありません。
3 刑事と民事、どちらを選ぶべき?
結論から言えば、「どちらか一方」ではなく「両方」行うケースが多いです。
特に悪質な誹謗中傷の場合、以下のような流れが一般的です。
①民事手続きで犯人を特定する (警察はIPアドレスの特定捜査に慎重な場合も多いため、まずは弁護士が民事で特定することが近道になることが多いです)
②特定した相手に対して、損害賠償請求(民事)を行う
③同時に、警察へ刑事告訴(刑事)を行う 「示談に応じなければ刑事告訴を取り下げない」という交渉カードとしても機能します。
4 最適な戦略を立てるために
「とにかく相手を刑務所に入れたい」のか、「慰謝料をとって反省させたい」のか、被害者の方が何を一番望むかによって、とるべき戦略は変わります。
当事務所では、依頼者様の気持ちに寄り添い、刑事・民事の両面から最適な解決策をご提案します。まずは法律相談にて、現在のご状況をお聞かせください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
肖像権侵害の判断基準-SNSに勝手に写真を載せられた場合の対処法
スマートフォンの普及により、誰もが気軽に写真を撮り、SNSにアップする時代になりました。それに伴い急増しているのが「肖像権」に関するトラブルです。
「友人が勝手に私の変顔をインスタに載せた」「街中で撮影された動画に自分が映り込んでいてYouTubeにアップされた」 これらは法律的に許されるのでしょうか?
1 肖像権とは?
肖像権とは、法律の条文に明記されているわけではありませんが、判例上認められている権利で、「みだりに自分の容ぼう等を撮影されたり、公表されたりしない権利」のことを指します。大きく分けて以下の2つの側面があります。
①プライバシー権的側面
勝手に撮影・公表されない権利(一般人が主に対象)
②パブリシティ権
顧客誘引力(経済的価値)を勝手に利用されない権利(芸能人・有名人が主に対象)
一般の方のトラブルでは、前者の「プライバシー権としての肖像権」が問題になります。
2 肖像権侵害になるかどうかの基準
すべての「無断掲載」が違法になるわけではありません。裁判所は、主に以下の要素を総合的に考慮して判断します。
①人物が特定できるか
顔がはっきり映っているかどうかが重要です。遠くの風景の一部として小さく映っている場合や、後ろ姿、ピンボケ、マスクやサングラスで個人が識別できない場合は、侵害とは認められにくいです。
②撮影・公開の場所
自宅内などのプライベートな空間か、公園や路上などの公共の場所か。公共の場所であっても、特定の人物を狙って執拗に撮影する行為は違法となる可能性があります。
③撮影・公開の目的と必要性
報道目的や防犯目的など正当な理由があるか、あるいは単なる興味本位や嫌がらせか。
④本人の承諾(許可)の有無
「撮っていいよ」と言ったとしても、「SNSに載せていいよ」と言ったことにはなりません。撮影の許可と公開の許可は別物です。
3 よくあるケースと対応策
①集合写真のSNSアップ
友人間でのトラブルで多いのがこれです。基本的には「掲載を取り下げてほしい」と直接伝えるのが一番ですが、関係性がこじれている場合や、悪意を持って晒されている場合は弁護士による削除請求が有効です。
②隠し撮り・リベンジポルノ
交際相手との私的な写真や動画が公開された場合、これは重大な権利侵害です。肖像権侵害だけでなく、リベンジポルノ防止法違反や名誉毀損に該当する可能性が高く、警察への刑事告訴も視野に入れるべき緊急事態です。
4 泣き寝入りせず削除を求める
「風景の一部だから大丈夫」「モザイクをかけたから大丈夫」と投稿者は主張するかもしれませんが、文脈や周囲の情報と合わせることで個人が特定できる場合、肖像権侵害は成立し得ます。
勝手に写真を公開され、精神的苦痛を感じている場合は、画像の削除や損害賠償請求が可能です。まずはスクリーンショットを保存の上、ご相談ください。

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「プライバシー侵害」はどこから?ネットでの実名・住所晒しへの法的対応
「ネット掲示板に勝手に本名を書かれた」、「自宅の住所が晒されている」
こうした「プライバシー侵害」は、名誉毀損と並んで非常に多い相談の一つです。
匿名性が基本のインターネットにおいて、個人の私生活に関する情報が暴露されることは、精神的に大きな苦痛を伴います。では、具体的にどのような情報が公開されると「プライバシー侵害」として法的措置が取れるのでしょうか。
1 プライバシー侵害の「3つの基準」
過去の裁判例(「宴のあと」事件など)から、プライバシー侵害が成立するかどうかは、主に以下の3つの要件ですべて満たすかどうかで判断されます。
①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られる事柄であること
②これまで一般の人々に知られていない事柄であること(非公知性)
③一般人の感覚として、公開されることを欲しない事柄であること
つまり、「誰にも知られたくない私生活の秘密」を「勝手にバラされた」場合に成立します。
2 具体的にアウトになる情報の例
以下のような情報は、プライバシー侵害として認められる可能性があります。
①氏名、住所、電話番号: 個人の特定に直結する基本情報
②勤務先、年収、資産状況: 経済的な信用に関わる情報
③前科、前歴: 過去の犯罪歴(実名報道されていても、時間が経過していれば保護される場合があります)
④病歴、身体的特徴、性的指向: 極めてデリケートな情報(センシティブ情報)
⑤家庭内のトラブル: 離婚歴、不倫の事実、家族構成など。
3 実名や顔写真が出ているだけでは不十分?
「自分の名前がネットにあるだけで消したい」という相談もありますが、単に名前があるだけでは削除が難しい場合もあります。
例えば、会社の代表者としてホームページに名前が載っている場合や、自らSNSで公開している情報は、「他人に知られたくない秘密」とは言えないからです。
しかし、前後の文脈が重要です。「〇〇(実名)は詐欺師だ」のように、実名と共に誹謗中傷が書かれている場合は、プライバシー侵害と名誉毀損の両方を主張できる可能性があります。
4 プライバシー侵害への対処法
プライバシー情報は一度拡散してしまうと回収が困難です(デジタルタトゥー)。
そのため、名誉毀損よりもさらに「スピード」が重要になります。
①サイト管理者への削除請求
裁判手続きを経なくても、ガイドライン違反として削除に応じてもらえるケースがあります。
②送信防止措置依頼
プロバイダ責任制限法に基づき、正式な書類を送って削除を求めます。
③法的措置(仮処分・開示請求)
削除に応じない場合や、投稿者を特定して慰謝料を請求したい場合は、裁判手続きを行います。
ご自身の情報が晒されて不安な日々を過ごされている方は、すぐに弁護士へ相談し、情報の拡散を止める手立てを講じましょう。

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誹謗中傷と名誉毀損の違いとは?侮辱罪との境界線や成立要件
インターネット上で悪口を書かれたとき、「これは誹謗中傷だ!」「名誉毀損で訴えてやる!」と思う方は多いでしょう。しかし、法律の世界には「誹謗中傷罪」という名称の犯罪は存在しません。
法的に問題となるのは、主に「名誉毀損(めいよきそん)」と「侮辱(ぶじょく)」の2つです。この2つは似ているようで、成立するための条件が大きく異なります。
今回は、ネットトラブルで最も重要なこの2つの違いについて解説します。
1 「事実」を摘示しているかどうかが分かれ目
名誉毀損と侮辱、どちらに当てはまるかを判断する最大のポイントは、書き込みの中に「具体的な事実」が含まれているかどうかです。
(1)名誉毀損罪(刑法230条)
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立します。
ここでのポイントは「事実の摘示」です。
例えば、「Aさんは会社の金を横領している」「Bさんは不倫をしている」といった書き込みは、証拠の有無にかかわらず「具体的なエピソード(事実)」を示して相手の社会的評価を下げているため、名誉毀損になり得ます。
(2)侮辱罪(刑法231条)
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」場合に成立します。
具体的なエピソードはなくとも、相手の人格を否定するような言葉がこれに該当します。 例えば、「バカ」「アホ」「チビ」「ハゲ」「無能」といった抽象的な罵倒は、事実の摘示ではないため、名誉毀損ではなく侮辱罪の対象となります。
2 「公然と」とはどういう意味か?
どちらの罪にも共通する要件として「公然と」という言葉があります。
これは「不特定または多数の人が認識できる状態」を指します。
インターネット上の掲示板、X(旧Twitter)、インスタグラムのコメント欄などは、誰でも見ることができるため「公然と」の要件を満たします。
一方で、1対1のダイレクトメール(DM)や、少人数の鍵付きグループチャット内での悪口は、原則として「公然性」がないため、名誉毀損や侮辱罪は成立しにくい傾向にあります
3 民事上の損害賠償額(慰謝料)の違い
刑事罰だけでなく、民事裁判で慰謝料を請求する場合も、名誉毀損と侮辱では相場が異なります。
①名誉毀損の場合
社会的信用へのダメージが大きいため、慰謝料相場は数十万円〜百万円程度(個人の場合)と高めになる傾向があります。
②侮辱(名誉感情の侵害)の場合
抽象的な悪口にとどまるため、数万円〜数十万円程度にとどまるケースが多いです。
4 どちらかわからなくても弁護士へ相談を
「この書き込みは事実のような、悪口のような、どちらとも取れる…」と迷うケースも少なくありません。 ご自身で判断して「これは罪にならないかも」と諦めてしまう前に、専門家である弁護士にご相談ください。文脈全体を分析し、法的にどの権利侵害を主張できるか、最適な構成案をご提案します。

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投稿者が未成年だった場合:親権者への損害賠償請求は可能か?
発信者情報開示請求によって匿名投稿者を特定した結果、その加害者が中学生や高校生などの未成年者であったというケースは少なくありません。特にSNS上での不用意な発言や「ノリ」による誹謗中傷、いじめなどが原因となる場合です。
加害者が未成年である場合、「未成年だから責任は問えないのではないか」と考える被害者の方もいますが、そのようなことはありません。未成年者が行った違法な行為についても、民事上の責任を追及することは可能です。
1 未成年者本人への責任追及:責任能力の有無
まず、未成年者本人に直接、損害賠償責任を負わせることができるかどうかは、その未成年者に「責任能力」があるかどうかによって判断されます(民法712条)。
(1)責任能力とは
自己の行為が法的にどのような結果を招くかを理解し、判断できる精神能力を指します。
一般的な目安:裁判実務では、おおむね12歳〜13歳以上の未成年者は責任能力があると判断される傾向にあります。高校生であれば、通常は責任能力が認められます。
(2)責任能力がある場合
責任能力が認められた未成年者は、成人と同じく、自身が行った誹謗中傷などの不法行為に基づき、被害者に対し直接損害賠償責任を負います。
(3)責任能力がない場合
責任能力がないと判断された未成年者(例:小学生など)は、本人に損害賠償責任を負わせることができません。この場合、責任は親権者に移行します。
2 親権者への責任追及:監督義務者としての責任
未成年者の誹謗中傷行為について、その親権者(通常は両親)に対しても損害賠償を請求できる場合があります。これは、以下の2つの法的根拠に基づきます。
(1)監督責任(民法714条)
未成年者に責任能力がない場合、その未成年者を監督する法定の義務を負う親権者(監督義務者)が、代わりに損害賠償責任を負います。
ただし、例外規定あり: 親権者が「その義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったとき」は責任を負いません。しかし、ネット上での誹謗中傷の場合、親が子どもが何を投稿しているか適切に監督していないと判断され、責任が認められるケースが多いです。
(2)監督義務違反(民法709条)
未成年者に責任能力がある場合でも、親権者自身の「監督義務違反」を理由に損害賠償責任を追及できる可能性があります。
例:過去にもネットでトラブルを起こしていることを知っていながら放置していた、SNSの利用ルールを設けず野放しにしていたなど、親自身の監督が不十分であったと認められる場合。
現実的には、未成年者本人に経済力が乏しいことが多いため、慰謝料などの回収を確実にするためにも、親権者に対して監督義務違反による損害賠償請求を行うことが、被害者にとって最も有効な手段となります。
3 まとめ:親権者への請求を含めた戦略を
加害者が未成年であっても、誹謗中傷によって生じた被害は深刻であり、その責任を追及することは可能です。特に、未成年者本人の資力不足が予想されるため、親権者の監督責任を追及することが、慰謝料などの回収を確実にする重要な戦略となります。

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