SNSや動画投稿サイトで「バズる(=爆発的に拡散される)」ことは、個人や企業の知名度向上に繋がる一方で、他人の権利を侵害してしまうリスクもはらんでいます。軽い気持ちで使用した画像やフレーズが、実は著作権や商標権を侵害していたというケースも多く、拡散後にトラブルへ発展する例も少なくありません。本記事では、「バズる」に潜む知的財産権の落とし穴について解説します。
このページの目次
1 著作権侵害の典型例
①有名キャラクターやイラストの無断使用
たとえば、アニメキャラクターの画像を使ってコラ画像を作成し、SNSに投稿する行為は、著作物の複製・公衆送信に該当し、著作権侵害にあたる可能性があります。
②他人の撮影した画像・映像の転載
TwitterやYouTubeから拾ってきた動画や写真を、出典を示さず「自分のコンテンツ」として使用すると、原則として違法です。
③楽曲や音声の無断使用
TikTokやInstagram Reelsなどで、J-POPなどの市販楽曲をBGMに使用する場合、原則として権利者の許諾が必要です。
2 商標権の意外な落とし穴
「〇〇る」「△△活」など、バズワードやキャッチフレーズの中には、実は商標登録されているものもあります。以下のようなケースが問題となり得ます。
①他人が登録した商標を、自社商品やキャンペーンに無断で使用
②登録商標を含んだハッシュタグを使って販促を行う
③パロディ的に商標を用いたTシャツや雑貨を制作・販売
これらは、商標権侵害に該当するおそれがあり、損害賠償や差止請求の対象となることがあります。
3 裁判例:SNS投稿が著作権侵害と認定された事例
ある裁判例では、人気イラストレーターが描いたキャラクター画像を無断でTシャツに印刷・販売したユーザーに対し、著作権侵害が認定され、200万円の損害賠償が命じられました。
この事件では、たとえバズによって注目を集めた商品であっても、「他人の著作物を勝手に使った」ことが法的責任の中心になった点が注目されます。
4 バズる投稿を行う際の注意点
①使用する画像・音源・フレーズの権利確認を行う
「フリー素材」「商用利用可」などの明示がない限り、無断使用は避けましょう。
②出典・クレジットの明記
正当に使用している場合でも、作者や出所を明記することでトラブル防止になります。
③「パロディ」や「オマージュ」でも注意
ユーモアのつもりであっても、権利者が不快に感じれば侵害とされることがあります。
④商標の使用には特に注意
企業名やブランド、バズワードを無断で商品化・販促に使用することは避けましょう。
SNSで注目を集めることは、クリエイターや事業者にとって大きなチャンスですが、「著作権や商標権を尊重する」という基本が欠けていては、拡散がそのまま“法的リスクの拡大”につながってしまいます。
バズ投稿をする前には、一呼吸置いて「この画像・音楽・言葉は使って大丈夫か?」と立ち止まって確認する習慣を持つことが大切です。不安な場合は、早めに専門家にご相談ください。

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