インターネットやSNSの普及によって、インターネットトラブルは増加の一途をたどっています。
社会的に顕在化しているトラブルもあれば顕在化していないトラブルもあり、インターネットの発展によってトラブルの類型も多種多様となっている印象です。
そのような中でもやはりインターネットトラブルの中心は誹謗中傷や名誉毀損などのインターネット上での権利侵害です。
この類型のトラブルは、知り合い同士による単に子供の喧嘩のようなレベルのものから、無関係の第三者を一方的に誹謗中傷するような犯罪に該当する非常に悪質なものまで千差万別といえます。
1 特定発信者情報について
インターネット上の誹謗中傷が増加の一途をたどり、被害者による権利回復の手段も限定的であったこと等から、令和3年プロバイダ責任制限法が改正され、被害者保護の拡充が図られました。
改正点の中で重要な内容の一つが、特定発信者情報の開示請求権の創設です。
ここで、特定発信者情報の開示請求権とは、改正後のプロバイダ責任制限法第5条第1項柱書で規定されており、SNS等へのログイン時等の通信に係る情報の開示を請求の対象とするものです。
具体的には、加害者が問題となっているSNSのアカウントについて、①アカウント作成をした際の通信に係る情報、②加害者によるアカウントへのログインの際の通信に係る情報、③加害者が問題のアカウントからログアウトした時の通信に係る情報、④加害者が問題となっているアカウントを削除した時の通信に係る情報、が特定発信者情報の開示請求権による開示の対象です。
2 インターネットトラブルが発生した場合には早めに弁護士にご相談ください
インターネットトラブルは老若男女を問わず誰もが巻き込まれるリスクがあるトラブルです。
しかしながら、基本的にはインターネットの利用者にとっては匿名のやり取りが多いという安心感もあるためか、なかなか自分のこととして実感を持つことができない方が多い印象です。
大事なことは、インターネットトラブルも通常のトラブルと同様であるという認識を強く持つ必要があることを認識することです。また、トラブルが発生した場合には、被害者、加害者のいずれの立場であっても慎重に対応を進めることが非常に重要です。
自分がインターネットトラブルに巻き込まれてしまったと思われた場合には、まずは弁護士にご相談いただき、慎重に対応方針を検討いただくことをお勧めいたします。