1 他者が撮影し、公開している写真を無断で転載した場合
まず、通常、写真は、被写体の組合せ、選択及び配置、構図並びに撮影方法を工夫して、シャッターチャンスを捉えて撮影されたものであり、これを撮影した原告の「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)であって、「写真の著作物」(同法10条1項8号)に該当します。
適切に引用をして転載する場合には問題ないのですが(著作権法32条1項)、無断で転載した場合には、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたものと判断される可能性が非常に高いので注意が必要です。
したがって、例えば、他者が撮影し、SNS等で公開している写真を無断で転載した場合には、著作権侵害に該当し、発信者情報開示請求が認められるほか、不法行為に基づく損害賠償請求の対象にもなります。
SNS等で公開されている写真については、既に公開されている以上は転載しても問題ない等の考えをお持ちの方もおりますが、以上のとおり、違法なものとなりますので、仮に転載する場合には、適切に引用するように十分ご注意ください。
この点が問題となった裁判例としては、例えば、東京地判令和4年3月4日(LLI/DB 判例秘書登載)などがあり、実際に無断転載者に関する情報の開示がプロバイダに対して命じられております。
2 インターネット上の著作権侵害には十分ご注意ください
インターネットの利用においては、著作権侵害という意識がなく他者の著作権が侵害されている場合が非常に多くあるというのが実情です。
インターネットの特性ともいえますが、簡単に複製や転載することが可能である一方で、著作権侵害をした場合には、非常に高額な損害賠償が課されることにつながりかねません。
また、そもそも著作権侵害は著作権法上刑事罰も規定されているものであり、犯罪に該当する可能性も非常に高い行為です。
仮に著作権侵害に該当する行為をしてしまった場合には、素直に権利者側に謝罪をし、適切な慰謝料や損害賠償をすることで、刑事事件等の大事にすることなく解決することが出来る場合も非常に多いのが実情です。
「侵害者を特定することなんて不可能」、「少し転載しただけなので大事になんてなるわけない」等軽い気持ちで対応をすることは非常に危険です。
その一方で、権利者側が法外な金額を賠償金として請求してくることもありますので、慎重に対応することが重要であるということにも留意が必要です。 弊事務所は、著作権侵害を含めインターネットトラブルを幅広く取り扱っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。