先日は『適格消費者団体による合理的根拠資料の開示要請』についてご紹介いたしました。
ただ、そもそも、『適格消費者団体』について良く知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本日は、消費者保護の観点から非常に重要な「適格消費者団体」についてご説明します。昨今、消費者トラブルの増加に伴い、景品表示法や特定商取引法に基づく団体の役割が一層注目されています。
事業者の皆様にとっても、適格消費者団体の役割や動きを正しく理解しておくことは、リスク管理の観点から非常に重要です。
このページの目次
1 そもそも適格消費者団体とは?
適格消費者団体とは、消費者の利益を守るため、法律違反の疑いがある事業者に対して不当な契約条項や表示の是正を求める活動を行う団体です。
主に、消費者契約法、景品表示法、特定商取引法に基づく団体です。
適格消費者団体は消費者庁の認定を受けた団体であり、一定の基準(組織体制や活動実績など)を満たすことが求められています。
2 適格消費者団体の主な役割
①不当な契約条項の差止請求
適格消費者団体は、不当な契約条項(消費者に一方的に不利益を与える条項など)が含まれている場合、事業者に対して差止請求を行うことができます。
例えば、利用規約に「事業者側に一切の責任はない」といった不当な免責条項がある場合、団体が是正を求める活動が可能です。
②不当表示の是正要請
景品表示法に基づき、不当表示(優良誤認表示、有利誤認表示など)が行われている場合、適格消費者団体はその表示の根拠を求めたり、行政機関に報告するなどして是正を促します。
2024年10月の景品表示法改正では、団体が事業者に対して合理的根拠資料の開示を求める制度も導入されました。
③消費者被害の予防と啓発活動
適格消費者団体は、消費者への啓発活動や被害予防のための情報提供を行い、社会全体の消費者トラブルの減少を目指しています。
3 改めて事業を見直すことも重要です
適格消費者団体は、消費者の権利保護を目的とし、不当な契約条項や表示を是正するための活動を行う存在です。事業者にとっては、日頃から法令遵守を徹底し、適格消費者団体からの指摘や要請にも誠実に対応することが求められます。
特に、景品表示法における合理的根拠資料の開示要請制度が導入されたことで、事業者は表示内容の裏付けをより一層意識する必要があります。
法令違反が疑われないよう、広告や契約内容のチェック体制を整え、必要に応じて弁護士など専門家に相談することをお勧めします。