「初月無料」「いつでも解約OK」「定額で使い放題」
サブスクリプション(定額制)サービスは今や多くの業界に広がっており、広告でも手軽さ・お得感・自由度の高さを訴求する表現が定番になっています。
しかし、自動更新の有無、最低契約期間、解約条件などが明確に表示されていない場合、景品表示法や特定商取引法に違反するおそれがあり、近年トラブルが急増しています。
このページの目次
1 特に注意すべきは「初回無料×自動更新」型
「初月無料」「初回0円」といった広告は、実際にはその後自動的に有料プランへ移行する仕組みであるケースが多く見られます。
この場合、以下のような表示が不十分だと法的リスクが高まります:
①「無料」ばかりを強調し、有料移行のタイミングや価格が小さく書かれている
②無料期間中に解約しなければ課金される仕組みを明確に説明していない
③解約方法が分かりにくく、実質的に解約が困難な仕様になっている
これらの広告は、「最初は無料だと思っていたのに、気付かず有料契約になっていた」という消費者の不満や苦情の温床となり、景表法の有利誤認表示や特商法の不実告知として指導・処分対象になるリスクがあります。
2 特定商取引法との関係にも要注意
定期購入・継続契約に該当するサービスは、「通信販売」に該当するため、特定商取引法上の表示義務があります。具体的には、以下の項目を広告や申込画面で明確に表示しなければなりません。
①商品・サービスの内容と対価(価格)
②契約期間や自動更新の有無・条件
③解約・返品の条件や方法(手続きの具体的ステップ)
④申込締切やクーリングオフの有無(※業種による)
違反すると、業務停止命令や行政指導、課徴金対象となる可能性があるため、広告担当者だけでなく、申込フローや会員ページのUX設計も含めた全体最適が求められます。
3 サブスク広告の表示対応
①「初回無料」「0円」などの表現に、有料移行の条件・タイミングを明記しているか?
②契約期間・自動更新・最低利用期間の情報が申込画面に明示されているか?
③解約方法が簡便で、事前に説明されているか?
④表示義務項目(特商法)を広告・LP・購入画面にて網羅しているか?
⑤継続課金・自動課金の内容について、社内で説明責任を果たせる体制があるか?
“便利でお得”な印象の強いサブスク広告ですが、その“裏側”で消費者が気づかずに負担を負ってしまう構造には、常に注意と配慮が必要です。
透明性と説明責任を果たすことでこそ、「継続して選ばれるサービス」になるのです。 弊事務所では広告法務に関して総合的にサポートを提供しております。広告法務に関してお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
