広告法務の基本③「有利誤認表示」と価格表示の注意点

1 有利誤認表示について

前回は、景品表示法における「優良誤認表示」について解説しました。

今回は、もう一つの主要な規制対象である「有利誤認表示」に焦点を当てます。

特に販売価格や販売価格からの値引き、期間限定価格といった広告表現は、消費者にとって魅力的である一方、誤認を招きやすく、表示には注意が必要です。

「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格・取引条件が、実際よりも著しく有利であると消費者に誤認させるような表示を指します。

典型例としては、以下のようなケースが挙げられます。

①実際には販売実績のない価格を「通常価格」として表示し、「今だけ50%OFF!」と大幅な値引きをうたう方法

②販売期間を常に延長しているにもかかわらず、「本日限り」「先着100名限定」と表示する方法

③条件付きの割引にもかかわらず、その条件を目立たない位置に小さく記載する表示方法

2 表示方法にはご注意ください

こうした表示は、消費者の購買意欲を不当にあおり、誤認を招くおそれがあるため、景表法違反となる可能性があります。

特にECサイトやネット広告では、定期的なセールやキャンペーンを訴求することが多く、「通常価格」が実在しない、あるいは短期間しか設定されていない場合に問題となることが少なくありません。

行政指導や処分のリスクを避けるには、「通常価格」や「参考価格」といった表示が、実際に販売されていた価格であり、その期間や販売実績が一定以上あり景表法のルールに沿っていることを示す「裏付け資料」を準備しておく必要があります。

また、「期間限定」「特別価格」などの文言を使用する際には、その期間が本当に限定的であるかどうかが問われます。「常に延長される期間限定」や「恒常的な特別価格」は、消費者庁の過去の措置命令事例でも問題視されており、注意が必要です。

広告表現における価格訴求は、売上に直結する重要な要素ですが、法的な裏付けを軽視すると、かえってブランドイメージや法的リスクの面で大きな損失を招きかねません。

制作段階からリーガルチェックを組み込むことで、こうしたリスクを未然に防ぐことが可能になります。 弊事務所では、広告に関するリーガルチェックの経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、広告に関してご不明な点やご不安な点がある場合には、お気軽にお問い合わせください。

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