金融業界では、ローン・クレジットカード・保険・証券・投資信託・仮想通貨など、幅広い金融商品が広告対象となります。
しかし、これらの広告は法律による規制が非常に多岐にわたり、景品表示法に加え、金融商品取引法、貸金業法、保険業法など複数の法令の適用を受けるため、特に慎重なリーガルチェックが求められます。
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1 金商法にはご注意ください
たとえば、投資関連の広告においては、金融商品取引法(いわゆる「金商法」)により、虚偽記載や誤認を招く表示が禁止されています。代表的な問題表現は以下の通りです。
①「元本保証」「絶対儲かる」などの断定的な利益保証
②実際にはリスクの高い商品に「安全・確実」などの表現を用いる
③高騰した実績だけを強調し、過去の暴落やリスクを伏せる表現
④リターン情報だけ記載し、手数料や元本割れリスクを目立たせていない広告
これらはいずれも誤認を生じさせる表示に該当し、金融庁や消費者庁から行政処分・業務改善命令を受ける可能性があります。
2 その他の法規制
また、ローンやクレジットカードの広告では、貸金業法および割賦販売法の規制対象となります。金利・返済期間・手数料などについて正確な表示が義務付けられており、たとえば以下のような表現は問題となります。
①実質年率や遅延損害金などの開示がない
②「無審査」「誰でも借りられる」といった誤解を招く誘引
③初回のみの金利を大きく強調し、2回目以降の条件を小さく表示する
これらは「誇大広告」「不当な誘引」として、違法性が問われる場合があります。特に、資金に困っている消費者に誤解を与える広告は、社会的非難も大きくなります。
さらに、保険商品を取り扱う場合には保険業法が関わってきます。保険に関する広告では、保障内容・免責事項・支払い条件などの重要な情報を適切に表示しなければならず、誤解を招くような表現や比較広告には厳しい制限があります。
近年では、金融系YouTuberやSNSでの投資情報の発信も増えていますが、それらが広告である場合には、「広告であることの明示」および誤認防止の配慮が不可欠です。景表法のステマ規制や金商法による誇大表示の禁止は、個人や企業を問わず適用されます。
3 リーガルチェックの際のチェックポイント
金融業界の広告におけるチェックポイントは以下の通りです。
①利益保証・断定的表現を避ける(例:「確実に儲かる」など)
②リスク・手数料・条件なども平等なバランスで表示する
③金融商品ごとの関連法令(貸金業法・金商法・保険業法など)を確認する
④動画・SNS等の媒体を使う場合でも表示責任は変わらないことを意識する
⑤広告表示と実際の商品説明に齟齬がないよう整合性を保つ
金融広告は、誤認や過剰な誘引があると法的リスクだけでなく、企業の社会的信頼も大きく損なう結果になります。だからこそ、高い透明性と誠実な表現が求められるのです。
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