機能性表示食品なら「効能」を言える?届出表示の範囲内での表現テクニックと、事後チェックの重要性

一般の健康食品では言えない「機能性(脂肪を減らす、目のピント調節など)」を表示できるのが「機能性表示食品」です。

しかし、届出さえすれば何を言ってもいいわけではありません。ここにも大きな落とし穴があります。

1 「届出表示」の範囲を超えてはならない

機能性表示食品の広告において、表現の許容範囲を決定するのは、消費者庁に受理された「届出表示」の内容そのものです。広告主が最も陥りやすいミスは、この届出内容を勝手に「拡大解釈」してしまうことです。

例えば、届出表示が「内臓脂肪を減らすのを助ける」である場合、広告で使えるのはあくまでその範囲内です。これを「飲むだけで激ヤセ」「くびれが手に入る」「マイナス10㎏ダイエット成功」といった、あたかも短期間で劇的な容姿の変化をもたらすかのような表現に言い換えると、即座にアウトとなります。

これは、届出の根拠となった研究論文(SRなど)で証明されているのはあくまで「脂肪の減少」であり、「劇的な体重減少や体型変化」までは証明されていないとみなされるからです。届出の文言から逸脱した瞬間に、それは「根拠のない広告」へと成り下がります。

2 身体の部位やイラストの制限

消費者が受ける印象は、文字情報だけではありません。消費者庁は、画像や動画による「暗示」も厳しく監視しています。たとえテキストで届出通りの文言を書いていても、視覚的な演出が「届出以上の効果」を期待させるものであれば、それは不当表示とみなされます。

①視力・ピント調節の事例

「目のピント調節機能を助ける」という届出の商品広告で、ボヤけた視界がパッと明るくなる演出や、眼鏡を投げ捨てるイラストを使用するのはNGです。これらは消費者に「視力が回復する(近視が治る)」という、届出の範囲を超えた誤認を与えるためです。

②ビフォーアフター

ウエスト周りのビフォーアフター写真も同様です。極端な変化を強調する画像は、届出表示が持つ「穏やかな機能性」の範囲を著しく逸脱していると判断されるリスクが極めて高いといえます。

3 事後チェック指針

消費者庁は「機能性表示食品の事後チェック指針」を公表し、届出後に定期的に商品を買い上げ調査(抜き打ち検査)しています。

届出内容と成分量にズレがないか、広告表現が過剰でないかがチェックされます。「機能性表示食品だから安心」ではなく、「機能性表示食品だからこそ、表現の制約(足かせ)がある」ことを理解し、慎重な運用が求められます。

機能性表示食品を運用する際は、常に「届出表示の原文」をデスクに貼り、そこから1ミリもはみ出さない表現を心がけるべきです。プロの代理店が持ってくる「もっと攻めた表現」の誘惑に負けず、エビデンスに基づいた誠実な広告運用を行うこと。それが、結果として行政処分のリスクを回避し、長期間にわたって利益を生む強いブランドを作る方法です。

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