1 女性用シューズの性質の虚偽記載について
女性用シューズの性質に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年3月30日付措置命令)。
事案の概要としては、女性用シューズを販売していた事業者が、自社の商品販売用のウェブサイト上及び商品のタグ上において、「WATER RES ISTANT はっ水素材使用」と記載し、当該シューズの性質としてはっ水加工が施されているかのような説明を掲載していました。
しかしながら、実際には、当該シューズの原材料として使用された皮革において、はっ水加工が施されていないことが判明しました。
その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。
シューズにおいて、はっ水加工が施されてされているかどうかは、天気が悪い日でも使用できるかどうかは大きな問題ですので、購入者からすると非常に重要であり、通常ははっすい加工が施されている場合には、施されていない場合よりも価格が高めに設定されております。
そのため、当該広告表示は、はっすい加工が施されていることを広告表示することで、一般消費者の購入意欲を刺激し、意図的に誤解を生じさせるものであったことは明白です。
本ケースにおいては、はっ水加工でないことが分かっていれば購入を控えた消費者が一定数存在することは明白であり、広告表示によって一般消費者の消費者行動は大きく異なるものと考えられますので、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であることに異論はないでしょう。
なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、そのような慣行は一般消費者には関係ありません。
いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。
2 商品の広告表示の正確性には、常にご注意ください
最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、商品やサービスに関する広告表示が景品表示法等の法令違反や虚偽の記載があった等と指摘された場合、その情報は瞬く間に拡散してしまいます。
例えばSNSの検索ランキング等で上位に表示されてしまった場合には、その傾向はさらに強くなります。
またシューズなど身に着けるものである場合には、その傾向はさらに強く、当然のことではありますが、仮に悪い評判が立った場合には、当該商品やサービスの販売、ひいては会社全体の資質などに関しても悪い評判が広まってしまうと考える必要があります。
このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持することが重要であり、広告表示については正確な表示を心がけるとともに、第三者の視点を踏まえるという意味でも、日常的な業務の一つとしてリーガルチェックを実施していただくことをお勧めいたします。
弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関するリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。