医療サービスに対する苦情

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月1日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、歯科医院を営む歯科医師であるところ、被告らが匿名掲示板においていずれも、直接的な名称は伏せる形で当該歯科医院に受診した患者3名から相談を受けたことを明らかにするとともに、当該歯科医院の問題点を列記するとともに、歯科医師会にも様々な苦情が入っているとした上で、本件歯科医院の実態を知っていただきたいと思い書込みをした旨、あるいは、本件歯科医院において同様の経験をした者がいないかを尋ねる旨を記載した。これに対して、原告は、名誉毀損及び営業上の損害が発生したことを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①一連の投稿は、本件歯科医院が、多数の患者に対して、その不安をあおるような虚偽の説明しそれを信じ込ませて必要性のない治療を受けさせることで高額な治療費を支払わせているという印象を与え、原告の社会的評価を低下させるものであると認められる。

②医療機関を選ぶ際に利用するインターネットサイトとしては、医療機関のホームページ、都道府県・市区町村のホームページ、医療機関検索サイトが上位に上がり、インターネット上の掲示板は挙げられておらず、本件各投稿の実際の閲覧数について見ても本件各投稿の閲覧数が数百回程度にとどまっていたことからすれば、本件各投稿が本件歯科医院の売上金額に与えた影響の程度を重視することは相当でないというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

社会的使命感等に基づいて問題のある人物などを告発する意図をもって行った投稿であったとしても、名誉毀損や侮辱等に該当するリスクは十分にありますので、くれぐれも注意する必要があります。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0358774099電話番号リンク 問い合わせバナー