第三者の犯罪行為に関する投稿

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月14日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、経営コンサルタント業を営む株式会社の代表取締役であるところ、被告は

自身が運営するブログ内において、原告が強制わいせつ行為を行い逮捕された事実等を摘示した。これに対して、原告は、名誉毀損を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告が記載した会社名は、原告が代表取締役を務める株式会社の商号と1文字異なるだけであること、また、記載した住所は、以前の本店所在地であること、代表取締役名は原告と同姓同名であることに鑑みると、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると、本件記事1の「A株式会社」は原告が代表取締役を務める株式会社のことを指すというべきである。

②一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると、原告は性犯罪により逮捕されるような人物であるとの印象を与えるものであるから、本件各投稿は原告の社会的評価を低下させるものというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

仮に、本人としては何らかの使命感等に基づいて告発の一種として行う投稿であったとしても内容によっては、単なる名誉毀損や侮辱に該当してしまうケースも多々ありますので十分に注意が必要です。

自分が投稿する内容が問題ないかどうか、具体的には第三者の社会的評価を低下させる恐れがあるかどうか、また、第三者の名誉感情を侵害するものでないかどうか、といったことを慎重に検討していただくことが非常に重要です。

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