ブログ上の名誉毀損

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

特に、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、千葉地方裁判所判決令和3年12月17日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被害者の子供が行方不明となった事件について、被告人が、インターネット上に開設した自身のブログ上において、被害者が当該事件を利用した詐欺行為を行っておりその捜査対象となっているかのような事実や人身売買や臓器売買の対象とした誘拐に関与しているかのような事実を記載した文章を掲載したことに対して、名誉毀損罪に該当するかどうかが争われた事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告人のブログを閲覧した者は、通常、当該文章は本件被害者について書かれたものであり、捜査権限を有する国家機関である検察において、事件として取り上げるに足る証拠に基づき、本件被害者が本件児童の行方不明に関連して詐欺行為又はその他の犯罪行為を行っているとの嫌疑を抱いて本件被害者を捜査対象としているものと捉え等の可能性が十分にあるものであり、本件被害者の社会的評価を害するに足る事実を摘示したものといえる。

②本件で、問題となっている各事実について、合理的な疑いを容れることができない証拠はもとより、証拠の優越程度の証拠すら存在しないものと判断するほかなく、本件で刑法230条の2第1項に定める真実であることの証明がなされたとはいえない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もありますので十分に注意することが必要です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ何らかのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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