ネット誹謗中傷の慰謝料相場

苦労して発信者情報開示請求を行い、ついに犯人を特定した。

次に待っているのは、「相手にいくら請求できるのか」という損害賠償(慰謝料)の話です。

「数百万円とれるはずだ」 そう期待される方も多いですが、日本の裁判基準における慰謝料の相場は、残念ながら欧米に比べて決して高くはありません。今回は、権利侵害の種類ごとの慰謝料相場と、金額が増減するポイントについてみていきます。

1 権利侵害のタイプ別・慰謝料相場

裁判になった場合、認められる慰謝料の目安は以下の通りです。

①名誉毀損(個人の場合)

相場:10万円〜50万円(悪質な場合で〜100万円程度)

具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させた場合です。

内容の悪質さ、拡散の広さ、被害者の属性(一般人か有名人か)などによって変動します。

②侮辱・名誉感情の侵害

相場:1万円〜10万円(悪質な場合で〜30万円程度)

「バカ」「ブス」などの罵倒が典型的な事例です。

事実の摘示がないため、名誉毀損に比べて低くなる傾向があります。

③プライバシー侵害

相場:10万円〜50万円

住所、氏名、病歴、ヌード写真などの流出です。

情報の内容がセンシティブであるほど(例:リベンジポルノなど)、金額は高額化し、100万円を超えるケースもあります。

④企業・法人への名誉毀損

相場:50万円〜100万円

法人の場合、「精神的苦痛」はないとされますが、「無形の損害(信用毀損)」として賠償が認められます。また、売上減少などの「実損害」を証明できれば、その逸失利益も上乗せして請求可能です。

2 慰謝料が増額される要因

以下のような事情がある場合、相場よりも高い慰謝料が認められる可能性があります。

①執拗さ: 長期間にわたり、何百回も繰り返し投稿している。

②悪質性: 脅迫めいた内容や、差別的な内容が含まれている。

③拡散力: 閲覧数の多いまとめサイトや、インフルエンサーによる拡散。

④被害の深刻さ: 投稿が原因で退職に追い込まれた、精神疾患を患った(診断書がある)、婚約破棄になったなど。

3 「調査費用(弁護士費用)」はどこまで請求できる?

慰謝料とは別に、犯人を特定するためにかかった「調査費用(発信者情報開示請求費用)」も損害として認められます。

ただし、全額認められるとは限りません。 裁判所の傾向として、実際にかかった費用の「相当額(一部)」や、「慰謝料額の1割程度」に制限されることがあります。 しかし近年の判決では、特定手続の複雑化を考慮し、調査費用を広めに認めるケースも増えてきています。

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