SNSやインターネットの利用が日常化している現代では、悪意がなくても知人のプライバシーを侵害してしまうケースが少なくありません。
「親しい間柄だから大丈夫だろう」という認識や軽い気持ちでの投稿が、思わぬトラブルに発展することもあります。
本日は、具体的な事例を交えて、知人間でのプライバシー権侵害についてご説明します。
このページの目次
1 知人間でのプライバシー権侵害の具体例
①写真や動画の無断投稿
例えば、友人と一緒に食事をした際に撮影した写真をSNSにアップしたケースです。
その写真には友人が写っており、友人は「ネット上に顔を出したくない」と考えていたにもかかわらず、投稿者はその点に気づきませんでした。このような行為は、たとえ親しい関係であっても、本人の許可なく肖像権やプライバシー権を侵害する行為となってしまう可能性があります。
②家庭や職場の情報の漏洩
例えば、「〇〇さんが今度転職するらしい」、「〇〇さんの子供が私立の学校に合格した」といった情報を、本人の同意なくSNSや匿名掲示板に書き込むケースです。
これは一見、悪意のない「報告」や「お祝い」のつもりであっても、本人にとってはプライバシーの侵害です。特に転職や家庭の事情などは、個人的な理由が絡むことが多いため、他人に知られたくない人も多いのです。
③位置情報や行動履歴の公開
近年では、SNSに「〇〇さんと一緒にカフェに来ました!」というように、位置情報付きで投稿することがあります。しかし、知人の行動を第三者に公開することは、その人のプライバシーを侵害するリスクがあります。例えば、「仕事を休んでいるのに遊んでいる」という誤解を招いたり、ストーカー行為のきっかけになる可能性もあります。
2 なぜ知人間でプライバシー侵害が起こるのか?
知人間でのプライバシー侵害は、主に以下のような要因によって引き起こされます。
①相手の許可を確認しない
「この程度なら大丈夫だろう」と一人で判断し、相手に確認せずに情報を公開してしまう。
②悪意のない行為
喜びや親しみを共有するつもりが、結果的に相手に迷惑をかける可能性がある。
③SNSやテクノロジーへの過信
SNSの便利さから、公開範囲の設定やプライバシーの配慮が欠けてしまう。
3 知り合いだからこそ、プライバシーには配慮しましょう
知人間でのプライバシー権侵害は、悪意なく起こってしまうことが多いため、相手に対する配慮が何よりも重要です。
「仲が良いからこそ大丈夫」と思い込まず、少しの確認や気遣いでトラブルを未然に防ぐことができます。
私たち弁護士の元にも、「知人との関係がSNS投稿をきっかけに悪化した」、「意図せずプライバシーを侵害してしまった」といった相談が寄せられています。
日頃のSNSやインターネットの使い方に少し注意を払うことで、こうした問題を避けることができますので、改めて注意をしましょう。