記者に関する名誉毀損

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年3月23日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被告は、日刊新聞その他の新聞の制作等を目的とする株式会社であり、原告は被告の社員である。原告は、被告が配信した記事によって原告の名誉が毀損されたと主張し、これに対して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①一般読者の普通の注意と読み方を基準とすると、本件各記事の各見出し及び内容は被告の組織に属する個々の構成員を批判していると理解されるものとは認められない。

②むしろ、その文脈に照らし、被告の取材班の得た情報自体に誤りがあったというのではなく、見出しを付ける際に誤った印象を与えるような表現を採用したこと及びそのような表現を本文の記述に残したことに問題があるとした上で、被告の組織としての取材体制や報道の在り方を内省するとともに、被告内外の委員会において、前件記事の審査並びに上記取材体制及び報道の検証を行う旨の発表をするものである。

③本件各記事が一般読者の普通の注意と読み方を基準として原告に向けられたと理解されるものとは認められない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

名誉毀損に関するトラブルが発生してしまうと、心情的な問題としてトラブルが大きくなることも往々にしてありますので、トラブルの発生を防ぐことが重要です。何らかの投稿を行う場合には、まずは投稿を行って問題ないかどうかを冷静に判断していただくことが重要であることは改めてご確認ください。

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