インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷は社会問題ともなっております。
本日は、1つの事例として、大阪地方裁判所判決令和3年12月24日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
このページの目次
1 事案の概要
原告が、被告が執筆し被告会社が雑誌に掲載及び出版して電子書籍としてインターネット上で配信した漫画に関して、当該漫画が自身の子供が死亡した事件を題材によって作成されたものであり、その内容によって名誉を毀損されたとして、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償金の支払い、及び同漫画について、インターネット配信等の一切の方法による公表の差し止めを求めた事案です。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①本件作品は、雑誌に掲載されたほか、電子書籍の一部としてインターネット上で不特定多数の者に対し公開されており、その閲覧者の中には原告らと面識がある者等が含まれているものと推認されること、これらの読者の中には、本件作品を読んで初めて原告らについて、それまで知っていた情報以上の情報を得た者がいた可能性も否定できないことなどからすれば、名誉毀損の不法行為が成立するかの判断の前提となる、いわゆる同定可能性については、本件作品の読者一般ではなく、そのような者を基準として行うのが相当である
②また、被告らは、虐待の事実については報道やインターネット上に流布した情報について真偽や、情報の出所等について確認することもなく漫然と鵜呑みにしたというほかなく、このような調査は、特定の人物と同定可能な形で他者の名誉を毀損する表現をした場合に違法性や民事上の故意過失を阻却するに足りないものと考えられる。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
そのため、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。
ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。