通常、発信者情報開示請求はコンテンツプロバイダ、ホスティングプロバイダに対する1段階目の手続と、アクセスプロバイダに対する2段階目の手続の2段階を経る必要があります。
しかしながら、アクセスプロバイダにおける通信ログの保存期間には制限があります(3か月~半年前後を保存期間としているところが多いように思いますが、1年以上保存している場合もあります。)。
そのため、コンテンツプロバイダ、ホスティングプロバイダからIPアドレスなどが開示された後アクセスプロバイダを特定できた場合には、直ちにアクセスプロバイダに対して通信ログの保存を依頼することになります。ここで、通信ログの保存が実現されないと、手続を進めても、最終的に通信ログを消去済みであることから開示できないという回答がくる可能性がありますので、十分注意する必要があります。
また、発信者情報開示請求書をアクセスプロバイダに対して送付する手続の中で通信ログの保存を図ることも可能です。
通信ログの保存に関してアクセスプロバイダ側から明確な確約を得られない場合には、確実に通信ログの保存を図るため、発信者情報消去禁止の仮処分の手続を利用することになります。
なお、アクセスプロバイダに対して通信ログの保存を依頼した場合、アクセスプロバイダ側から、「通信ログを発見することができない」といった回答がある場合があります。
このような回答が来た場合には、本当に通信ログを発見することができないのか、それともアクセスプロバイダ側の何らかの勘違いであるのかといった点を慎重に把握する必要があります。
以上のとおり、通信ログの保存は非常に重要な手続となりますが、慣れていないと思わぬミスで通信ログが消去されてしまうケースもあります。
最終的にどのような対応を選択するにせよ、まずは弁護士にご相談いただき、通信ログの保存に関して慎重にご検討いただくことをお勧めいたします。
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