Webマーケティング業界の広告と法的注意点

SEO対策、SNS運用代行、広告運用代行、LPO、Web制作など、Webマーケティング業界では「成果報酬型」の契約形態が増えており、広告においても「成果」や「改善率」を前面に押し出した訴求が多く見られます。しかし、こうした表現が景品表示法や特定商取引法の規制対象となるケースも多く、裏付けのない“成果保証”は法的リスクが極めて高いことに注意が必要です。

1 「売上2倍」「改善率98%」などの表示には根拠が不可欠

Webマーケティング業界で多用される成果表現の例として、以下のようなものが挙げられます。

①「導入後3カ月で売上2倍!」

②「広告費を30%削減」

③「離脱率98%改善」

④「95%のクライアントが効果を実感」

これらは一見インパクトがあり、依頼主の意思決定を促す表現ですが、表示の裏付けとなる『合理的根拠資料』がなければ、優良誤認表示として景表法違反に該当するおそれがあります。

特に問題になりやすいのは以下のようなケースです。

①一部の成功事例のみを取り上げ、あたかも全ての顧客に共通するかのような表示

②数値の根拠となる調査方法が不明確(例:母数・対象・期間を記載していない)

③自社計測のデータに過ぎず、第三者の検証が困難

広告にこうした表現を使用する際は、出典・調査方法・対象期間・対象者数などを明示することが望ましく、根拠資料を保存・管理しておくことも重要です。

2 「成果保証」「返金保証」には特定商取引法の注意が必要

「必ず成果が出ます」「成果が出なければ全額返金」といった保証表現も見かけますが、これは景表法のみならず、特定商取引法(特商法)上の不実告知や誇大広告に該当する可能性があります。

特に以下のような場合、法的リスクが高まります。

①実際には厳格な条件(例:○日以内申請、アクセス解析提出など)があるにもかかわらず、広告上で明示していない

②保証内容に例外条項が多数あるが、利用者には事前に伝えられていない

③成果の定義が曖昧で、契約後に一方的な解釈変更がされる

これらは、消費者契約法違反や不当表示としてトラブルの火種になりやすいため、必ず契約条件と広告表示を整合させる必要があります。

3 「導入実績」「クライアントの声」も実在性・出典の明示を

「1,000社導入」「有名ブランドも導入」などの表示は、信頼感を与える一方、実際の導入実績と異なる場合や許諾を得ていない掲載は不正表示・著作権侵害・名誉権侵害につながる可能性があります。

また、「クライアントの声」として実際の感想を掲載する場合も、以下の点を確認しておきましょう。

①掲載許可の取得(書面が望ましい)

②記載内容が誇張や改変なく、実際の内容と一致しているか

③顔写真や企業ロゴを使用する際の知的財産権への配慮

Web業界だからこそ、「数値」や「効果」で判断される世界です。しかし、だからといって“盛った”表現で短期的に契約を取っても、長期的には法的リスクと信用失墜を招く可能性があります。根拠ある成果、誠実な表現が、真に選ばれるサービスを築く鍵です。

弊事務所では広告法務に関して総合的にサポートを提供しております。広告法務に関してお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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