優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は、当該事業者に対して、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます(景品表示法第7条第2項、いわゆる不実証広告規制です。)。
事業者としては合理的な根拠であると考えていた場合でも、消費者庁からは根拠がないと判断される場合もありますので、どのような根拠が合理的な根拠に該当するのか、その判断基準が重要です。判断基準については、『不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―』(平成15年10月28日公正取引委員会)において説明がなされておりますが、本日は、合理的な根拠とは認められないケースをご紹介いたします。
1 商品と提出された資料の効果が適切に対応していない場合
消費者庁が公表する資料を踏まえると、以下のようなケースでは、試験報告書の提出が行われた場合でも資料としての信用性の乏しく合理的な根拠とは認められておりません。
①当該商品に含まれる成分に関してウェブサイト上の情報をまとめた資料が提出されたが、表示された本件商品自体の効果を実証するものではなく、裏付け資料としての意味合いがない資料であったケース
②当該商品に含有される成分に関する研究論文が提出されたが、その成分に関する一般的な記述が記載されているにすぎず、当該商品の効果を実証するものではなかったケース
以上のようなケースでは、資料に記載されている成分が適切に商品に含有されて効果が表れていれば問題ありませんが、商品の効果として別の効果が表れている場合には意味のない裏付け資料となってしまいます。
2 景品表示法等に違反する広告にはご注意ください
景品表示法等に違反する広告を行ってしまった場合には、消費者庁等から、措置命令や課徴金納付命令が下されるリスクがあります。このような事態となってしまった場合には、一般消費者の当該企業に対する評判に大きな悪影響を及ぼしますので、事業者にとってはその後の事業を継続する上では極めて大きな問題となり得ることは言うまでもありません。
景品表示法及び具体的な運用に関して正確な理解をしていない場合には、意図せず思わぬ表示上の間違いを犯してしまうリスクがあります。特に自社の商品や役務の良さを強調しようとする結果、景表法上違法な広告表示をしてしまうこともあり得ます。
このような状況を避けるためにも、広告表現に関してご不安な点等がありましたら、お気軽にご相談ください。