弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社労士など、士業(専門職)における広告は、依頼者との信頼関係を築く重要なツールです。近年ではWebサイト、リスティング広告、YouTube、SNSなどを活用した広告展開も広がっていますが、過度な成果アピールや曖昧な専門性の表示には、弁護士法や各士業法、景品表示法等の法的リスクが潜んでいます。
このページの目次
1 「実績〇件」「勝率○%」などの表示は根拠と文脈が不可欠
士業広告で特によく見られるのが、「解決実績〇件」「相談実績1万件超」「勝率90%以上」といった表示です。これらは、依頼者にとって信頼の指標となりますが、根拠の明示がない場合、景品表示法の優良誤認表示に該当するリスクがあります。
たとえば以下のような表示は注意が必要です。
①「勝率90%超」→ 実際には、訴訟で争われた件数のうち一部を対象とした数字
②「相談実績1万件」→ グループ全体の累積であり、自事務所単体ではない
③「着手から最短1日で解決」→ 特殊ケースを一般化して表示している
これらの表示には、対象範囲・期間・算出基準などを明示し、合理的根拠資料を保管しておく必要があります。また、過度な印象操作は信頼失墜に直結します。
2 「専門家による対応」「分野特化」の表示には根拠を
「交通事故に強い」「相続専門の弁護士」「不倫慰謝料特化」など、分野特化型の訴求も多く見られますが、これも根拠のないまま表示することは、誇大広告や不実告知にあたるおそれがあります。
士業には専門資格や分野認定がないことも多く、「専門」をうたう場合には以下の配慮が必要です。
①専門表記をするなら、実績件数・講演歴・執筆歴などの裏付けを明記
②「〇〇協会認定」の資格表示をする場合は、民間団体か国家資格かを明示
③他士業や提携先のサービスを掲載する場合は、誰が対応するのか明確にする
なお、弁護士の場合、「専門」という言葉の使用には弁護士会の広告規程にも注意が必要です。
3 「相談無料」「成功報酬制」表示のリスク
費用体系に関する広告も依頼者の関心が高く、「相談無料」「完全成功報酬制」などの表示はよく見られます。しかし、これらは実際には条件付き・例外ありの場合が多く、その表示方法によっては誤認を招くおそれがあります。
①「初回無料」なのに、2回目以降の料金や無料の条件を明記していない
②成功報酬としつつ、着手金や実費が別途かかる旨が小さく表示されている
③電話相談無料でも、実質的に予約後面談が前提となっている
このような表示を行う場合には、無料・成功報酬の定義、対象範囲、適用条件、例外事項を明確に表示することが不可欠です。
4 リーガルチェックのポイント
士業広告で注意すべきポイントとしては、
①実績・勝率などの数値表示には、算出基準・対象期間の明示と根拠資料の保管
②「専門」「特化」などの表現には、裏付けとなる客観的実績の提示
③「無料相談」「成功報酬」表示には、条件や例外を分かりやすく記載
④「弁護士が対応」などの記載は、誰が実際に関与するか明確に
⑤広告規程(特に弁護士)に沿った表現かを所属団体ごとに確認
法律・士業業界において、依頼者は「情報の非対称性」を抱えた立場にあります。だからこそ、誠実で正確な広告は、信頼を得る第一歩。“選ばれる専門家”になるためには、事実に裏打ちされた広告表現が不可欠です。 弊事務所では広告法務に関して総合的にサポートを提供しております。広告法務に関してお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。