「初回無料!」「0円スタート!」「完全無料で体験できます」
こうした“無料・0円”という表現は、顧客の心理的ハードルを大きく下げる強力な広告手法です。しかし、実際には費用がかかる、または条件があるにもかかわらず“無料”と表示していると、景品表示法や特定商取引法違反に該当するリスクがあります。
とりわけ、定期購入・サブスクリプション・体験サービスで多発している表示トラブルについて、本稿ではそのポイントを整理します。
このページの目次
1 「無料」表示における法的ルールの基本
景品表示法では、「実際の取引条件より著しく有利であると誤認させる表示」(=有利誤認表示)を禁止しています。
つまり、「無料」と表示する以上、消費者が本当に一切の負担なく利用できることが前提です。
NG表示の典型例としては、
①「0円」と表示しながら、送料や手数料が発生する
②初回無料としつつ、2回目以降の自動継続を前提とした契約である
③「無料相談」と表示しているが、実際には30分を超えると課金される
④「無料トライアル」中に解約しないと自動的に有料契約へ移行するが、その事実が目立たない
このようなケースでは、「無料」という表示が消費者の誤認を誘う不当表示と判断される可能性があります。
2 特に問題になりやすい「定期購入」「サブスク」
「初回無料」「初月0円」などの表示が最も多く使われるのが、定期購入型の商品やサブスクリプション型サービスです。しかし、実際には“1回だけでやめられない”契約条件であるにもかかわらず、「無料」を前面に出している場合、景表法・特商法の両方に抵触するリスクがあります。
たとえば以下のような条件付き契約は要注意です。
①「初回無料だが、最低3回の継続購入が必須」
②「無料期間が終わると、自動的に有料会員に移行」
③「無料体験はクレジットカード登録が必要、登録と同時に有料プランへ自動移行」
これらの条件は、広告上で明確に表示しなければ、「0円」という訴求が誤認表示となりうるため、慎重な対応が必要です。
3 リーガルチェックのポイント
①「0円」「無料」と表示しているが、別途費用が発生していないか?
②定期購入や有料移行の条件を、広告上で明確に示しているか?
③解除・解約の方法は、簡便かつわかりやすく表示されているか?
④「無料相談」や「無料診断」の範囲や時間制限が明示されているか?
⑤表示に対する社内でのチェック体制・表示根拠の保管は整っているか?
「無料」という言葉は、消費者にとって魅力的であるがゆえに、一歩間違えば“騙された”と強く反発を招く表現でもあります。
だからこそ、“無料”は誠実さをもって扱うべきキーワード。透明性をもって説明責任を果たすことが、結果的にブランド信頼と継続利用につながります。
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