口コミやレビューと景表法違反

近年、インターネット上の口コミやレビューサイトは、商品やサービスの選択に大きな影響を与える存在となっています。

しかしながら、これらの口コミやレビューが不適切な形で操作されている場合、消費者を誤認させる不当表示として、景品表示法(以下「景表法」)等に違反するリスクがあります。本記事では、口コミやレビューサイトと景表法違反の関係性について解説します。

1 景表法とは?

景表法は、事業者が商品やサービスの品質や価格などについて消費者に誤認させるような表示を行うことを禁止する法律です。この法律の目的は、公正な競争を確保し、消費者の利益を守ることにあります。

具体的には以下の3つの不当表示が規制対象となります:

①優良誤認表示

実際の品質や性能よりも優れていると誤認させる表示。

②有利誤認表示

実際の価格や条件よりも有利であると誤認させる表示。

③その他、内閣総理大臣が指定する不当表示(おとり広告など)。

口コミやレビューに関しては、特に優良誤認表示が問題となるケースが多いです。

2 口コミやレビューにおける景表法違反の典型例

口コミやレビューサイトが景表法違反に該当する可能性があるのは、次のような場合です。

(1)サクラレビューの掲載

事業者が自ら、または第三者に依頼して実際には体験していない人物による「サクラレビュー」を投稿させる行為です。これにより、商品やサービスの品質が実際よりも高く評価されていると誤認させる場合、優良誤認表示に該当します。

(2)レビュー内容の操作

事業者が自社商品やサービスに対する低評価レビューを削除し、高評価レビューのみを残すような行為です。これも消費者に誤解を与える行為とみなされる可能性があります。

(3)インセンティブ付きレビュー

商品購入者に金銭やクーポンなどの報酬を与えることで、好意的なレビューを投稿させる行為です。特に、インセンティブを受け取ったことを明記せずに投稿された場合、消費者に誤認を与える可能性があります。

(4)実在しない評価の捏造

ランキングや評価点数が事実に基づかず、事業者が恣意的に操作している場合も優良誤認表示として問題となります。

3 景表法違反のリスク

口コミやレビューに関して景表法違反が認定された場合、事業者は以下のようなリスクを負うことになります。

(1)行政処分

景表法違反が認定されると、消費者庁から措置命令が下されます。この命令に従わない場合、さらなる罰則が科される可能性があります。

(2)罰則・課徴金

重大な違反の場合、課徴金が科されることがあります。課徴金の額は売上高の一定割合で算定され、事業者にとって大きな経済的負担となる可能性があります。

(3)信用の失墜

口コミやレビュー操作が発覚した場合、消費者や取引先の信頼を大きく損なう可能性があります。一度失った信用を取り戻すことは非常に難しいため、経営に重大な影響を及ぼすこともあります。

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