「今だけ!」「期間限定セール実施中」「先着100名様限定」「在庫わずか!」
こうした“限定”の表現は、購買の背中を押す非常に強力な広告手法です。しかし、実際には期間や数量の限定がなされていない、あるいは事実と異なる場合には、景品表示法の「有利誤認表示」に該当するリスクがあります。
消費者庁も過去に複数の措置命令を出しており、「煽り系広告」の代表的な規制対象といえる表現です。
このページの目次
1 限定表示は「実態」が伴っていなければNG
景品表示法では、「取引条件が実際より著しく有利であると誤認させる表示」を禁止しています。「限定感」は“有利さ”の演出そのものであり、根拠のないまま使用することは違法とされる可能性が高いのです。
よく見られるNG例としては、
①「期間限定」と表示しながら、終了後も同じ価格や内容で継続販売している
②「残りわずか」としていた商品が、実際には在庫多数存在していた
③「先着100名限定」としていたが、数に達してもキャンペーンを続けていた
こうした表示は、消費者に“今買わなきゃ損”という誤った判断を促すものとして、有利誤認に該当する可能性があります。
2 「期間限定」表示で求められる3つの条件
①具体的な期間を明示していること
例:「2025年4月1日〜4月30日まで」「今週末限定」など
→「今だけ!」「期間限定中」だけでは不十分です。
②その期間を過ぎたら特典が終了すること
終了後も内容が続く場合は、「限定」と呼べません。
③実際に終了・切り替えを行っていること
常に“セール状態”となっている場合、「期間限定」は虚偽表示とされます。
3 「数量限定」表示は特に証拠の保管が重要
「限定100個」「残り5点」「先着50名」などの数量系表示では、“表示通りの数だけ販売した”ことを証明する責任(証明責任)は広告主側にあります。
①表示時点での在庫管理データ
②販売開始・終了日時、対象数量の記録
③在庫表示を自動更新していない場合の手動更新履歴
これらを広告の掲出とあわせて保管しておくことが、万一指摘された場合の“自己防衛策”となります。
「限定」という言葉は、消費者にとって“買う理由”になる強い表現です。だからこそ、そこに根拠と誠実さがなければ、一気に信頼を失う表現にもなり得ます。
“今だけ”をうたうなら、本当に「今だけ」であることを証明できるか?この意識が、企業のブランド価値と法的安全性の両立につながります。 弊事務所では広告法務に関して総合的にサポートを提供しております。広告法務に関してお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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